事業用借地権設定契約公正証書

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事業用借地権とは

事業用借地権とは、期間満了後の契約の更新がなく、賃借人の建物買取請求も排除できる借地権です。事業用借地権の設定契約は、借地人の権利に重大な制限を伴う契約であるため、公正証書によって行わなければなりません。文例に記載されているような公正証書の内容となる条項を作成し、それをもとに公証人役場で公正証書契約書を作成してもらうことが必要です。

事業用借地権設定契約公正証書

本公証人は、当事者の嘱託により、その法律行為に関する陳述の趣旨を縁取し、この証書を作成する。

賃貸人○○産業株式会社(以下「甲」という)と賃借人△△販
売株式会社(以下「乙」という)は、甲が所有する後記土地(以
下「本件土地」という)につき、賃貸借契約を締結した。
建設会社
第1条(本契約の目的)本契約は、甲所有の本件土地につき、乙
における○○事業の用に供すべき建物を所有するため、借地権
の設定を行うことをその目的とする。
第2条(事業のために使用することの合意)甲は、乙に対し、乙
が前条の目的に使用するために本件土地を賃貸し、乙はこれを
借り受けることに合意する。
第3条(本契約の契約期間)本契約の契約期間は、平成○○年○
月○日から平成○○年○月○日までの15年間とする。
2 契約の更改はこれを行なわない。
第4条(賃料と支払方法)本契約に基づく賃料は、1か月につき
金○○万円とする。
2 賃料の支払方法につき、乙は、毎月末日限り翌月分を甲の指
定する銀行口座に送金する方法にてこれを行うこととする。賃
料の持参は、これを受けつけないものとする。
3 甲は、前項の賃料が公租公課の増減その他経済事情の変動等
により近隣土地の地代に比較して不相当となったときは、賃料
の増額を請求することができる。
第5条(借地人の義務)乙は、事前の甲の書面による承諾を得た
場合を除き、賃借権の譲渡ないし本件土地の転貸をなし、また
は本件土地上の込物に増改築もしくは大修繕を施してはならな
い。
第6条(建物の滅失)第3条の期間満了前に乙が本作土地上に所
有する建物が滅失した場合においては、乙が新たに建物を築造
した場合でも、本契約は直ちに終了することとする。その際、
生じた賠償を乙は甲に支払わなければならない。
第7条(契約の解除)乙が次の各号の一に該当したときは、甲は
何らの催告を要せず、直ちに本契約を解除することができるこ
ととする。
① 3か月分以上の賃料の支払いを怠ったとき
② その他本契約の条項に違反したとき
2 前項の事由において、甲に損害が生じた場合には、甲は乙に
対し、損害賠償請求することができる。
第8条(原状回復義務)本契約が終了したときは、乙は、直ちに
建物を収去し、本件土地を原状に復し、これを甲に明け渡さな
ければならない。
2 甲は、乙が現状に復していないと判断した場合には、乙に対
し、原状回復の異議を申し出ることができ、乙はその指示に従
うこととする。
3 乙は、本契約終了に際し、乙が本作土地上に所有する建物そ
の他の物の買収を請求できないものとする。
第9条(損害金)乙は、本契約終了後、前条の事由につき、本件
土地の明渡し完了まで、1日につき、金○○○○円の損害金を
支払わなければならない。
第10条(立退料等請求禁止)乙は本契約終了の場合、甲に対して、
本件土地の明渡しを原因とした移転料、立退科その他いかなる
名称にかかわらずそれらに類する金銭的要求をしてはならな
い。
第11条(裁判合意管轄)甲および乙は、本契約に関する当事者間
の紛争については、甲の住所地を管轄する裁判所を第一審の管
轄裁判所とすることに合意する。
第12条(公正証書の作成)甲および乙は、本件契約を内容とする
公正証書を作成することに合意する。
以上
本旨外要件
住 所  東京都○○区○○町○丁目○番○号
職 業  会社員
貸 主  ○○○○ 印
昭和○年○月○日生
上記の者は運転免許証を提出させてその人違いでないことを証明させた。
住 所  東京都○○区○○町○丁目○番○号
職 業  会社員
借 主  ×××× 印
昭和○年○月○日生
上記の者は印鑑証明書を提出させてその人達いでないことを証明させた。
上記列席者に閲覧させたところ、各自その内容の正確なことを承認し、下記に署名・押印する。
○○○○ 印
×××× 印
この証書は、平成拾七年○月○日、本公証役場において作成し、下記に署名・押印する。
東京都○○区○○町○丁目○番○号
東京法務局所属
公証人  ○○○○ 印


この正本は、平成拾七年○月○日、貸主○○○○の請求により下記本職の役場において作成した。
東京法務局所属
公証人  ○○○○ 印

 

使用車両も制限される場合もある

事業用借地権は、「専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く)の所有を目的」とする場合でなければ設定できません。つまり「居住用建物賃貸事業」を目的にはできないということです。事業の内容は具体的に記載することが必要です。賃貸借契約期間は、10年以上20年以下でなければなりません。それ以外の期間を定めた場合には、事業用借地権としては無効になりますので注意してください。