個人会社の全株式の譲渡をする旨の株式譲渡契約公正証書

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株式譲渡契約とは

本項では典型的個人企業である一人会社の株式譲渡をとりあげます。一人会社とは、株主が一人の会社をいいますが、一人会社の全株式を譲渡するということは、包括的に会社そのものを譲渡するという意味を有します。

株式譲渡契約公正証書

本公証人は、当事者の嘱託により、その法律行為に関する陳述の趣旨を縁取し、この証書を作成する。

○○株式会社(以下「甲」という)と××株式会社(以下「乙」
という)は、次のとおり、株式譲渡契約を締結した。
第1条(株式譲渡)株券の交付および代金の支払)甲は、平成○
○年○月○日(以下「譲渡期日」という)をもって、甲が所有
する下記の株式(以下「本件株式」という)を下記に従い、代
金合計金5000万円で乙に譲渡するものとする。
株式会社△△(以下「丙」という)の発行にかかる普通株式
○○○○株
第2条(株券の交付および代金支払い)甲は、譲渡期日において、
以下の方法において株券交付、代金支払いを行う。
① 乙から前項の代金全額の支払を受けるのと引き換えに本
件株式の全株券を乙に対し交付する
② 乙は、同日、甲から同株券の交付を受けるのと引き換えに、
甲に対し代金の全額を支払う
第3条(甲の保証)甲は、丙がその取締役会決議において、譲渡期
日までに第1条の株式譲渡を承認することをここに保証する。
第4条(丙の資産の確認と損害賠償)甲は、平成○○年○月○日
現在における丙の資産が、後記別表の財産一覧表(以下「別表」
206
という)記載のとおりであることを確認する。
2 前項において、丙に別表中に記載のない債務その他の消極財
産が存在せず、かつ別表に記載された積極財産はすべて存在す
ることを保証する。
3 甲は、丙の資産状況が別表の記載と異なるときは、それによ
り乙が被った損害につき、乙に賠償しなければならない。
第5条(譲渡前の注意義務)甲は、第1条の株券の交付が完了す
るまで、善良なる管理者の注意をもって丙の業務執行、財産管
理、運営にあたらなければならない。
第6条(報告義務)甲は、第1条の株券の交付が完了するまでの
間に丙の経営に関し、重要な事項が生じたときは、乙に対して
事前にこれを報告し、乙の指示に従わなければならない。
第7条(秘密保持)甲は、乙の書面による事前の承諾のない限り、
丙の営業に関する情報を第三者に開示してはならない。
2 前項の規定によって損害が生じた場合には、相当額の賠償請
求をすることができる。
第8条(契約解除)甲および乙は、相手方が本契約条項の一に違
反したときは、何らの催告を要せず、直ちに本契約を解除する
ことができる。
第9条(協議事項)本契約に規定のない事項または本契約書の解
釈に疑義が生じた事項については、甲乙誠意をもって協議の上、
これを決定する。
以上
本旨外要件
住 所  東京都○○区○○町○丁目○番○号
職 業  会社員
貸 主  ○○○○ 印
昭和○年○月○日生
上記の者は運転免許証を提出させてその人違いでないことを証明させた。
住 所  東京都○○区○○町○丁目○番○号
職 業  会社員
借 主  ×××× 印
昭和○年○月○日生
上記の者は印鑑証明書を提出させてその人達いでないことを証明させた。
上記列席者に閲覧させたところ、各自その内容の正確なことを承認し、下記に署名・押印する。
○○○○ 印
×××× 印
この証書は、平成拾七年○月○日、本公証役場において作成し、下記に署名・押印する。
東京都○○区○○町○丁目○番○号
東京法務局所属
公証人  ○○○○ 印


この正本は、平成拾七年○月○日、貸主○○○○の請求により下記本職の役場において作成した。
東京法務局所属
公証人  ○○○○ 印

 

売買当事者双方が納得できる合理的かつ入念な契約書を作成する

会社に不動産等の資産があるが、経営者が高齢でしかも後継者に不安があるとか、経営が破たんに瀕しており、借家権、営業の許認可などのいわゆる営業権以外みるべき資産もないという場合には、通常の営業譲渡の方法では課税上の問題や家主が承諾しないなどの理由により営業譲渡の実効をあげることは困難です。このような場合に用いられるのが会社の全株式の譲渡という方法です。小規模な会社では、株式を譲渡するには取締役会の承認を得なければならないとの定款の規定を設けているところが多いようです。これは会社にとって好ましくない者が株主となることを防止するためであると考えられます。このような株式の譲渡制限の定めのある会社の株式について譲渡契約を締結する場合には、その株式譲渡につき取締役会での承認を得られるように事前に根回しをし、契約上譲渡人にその旨の保証をさせることが望ましいでしょう。承認を得られなければ譲受人は株主の地位を主張できないからです。個人会社の全株式の譲渡契約を行うときは売買当事者双方が納得できるような合理的かつ入念な契約書を作成することが大切です。