リース・レンタルについての公正証書の作り方

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オフィスなどで活用されている契約

山田さんはIT関連の会社を興して経営していますが、売上げも順調に伸びてきました。従業員の数や資金も充実してきたため、いよいよ株式を上場しようと決めました。上場する以上は、今までのような陣容では不十分です。そのため、会社の本店を都心に移転し、事務所を充実させることにしました。もっとも、人件費などが拡張する一方、新しいコンピュータや事務機器が多数必要になってきました。すべてを購入していたのでは、費用がかかってたまりません。しかも、コンピュータなどは、日々、新製品が開発されるので、いちいち買い替えるのも大変です。そこで、山田さんは、コンピュータや事務機器は、賃貸で済ませる方法を考えました。秘書に業者のパンフレットを取り寄せてもらったところ「リース」や「レンタル」といった言葉が使われていますが、どうもそれぞれの契約内容が微妙に違っているようです。どこと契約して公正証書を作成すべきか、山田さんは考え込みました。

このように、最近では、オフィスではコンピューターをはじめ、コピー機などの事務機器にかなりの費用がかかるようになりました。また、製造業で必要になる工作機械などの設備の場合、事務機器よりもはるかに多くの費用がかかります。景気の良い時代ならともかく、これらの設備に対して無制約に投資をすることはなかなかできません。そこで、レンタルやリースといった契約形態が、ビジネス界の主流になってきています。

レンタル契約とは

「レンタル契約」という言葉は、最近よく耳にするようになってきました。「レント契約」という言葉が使用されることもあります。「レント」とは英語の「Lent」で、「貸す」という意味の「Lend」から来ています。簡単に言うと、「賃貸借」ということになります。つまり、事務機器や工作機械、さらには、自動車などの動産を、賃料と引き換えに貸し出すことです。前に説明した不動産賃貸借契約の場合には、民法の賃貸借に関する規定ではなく、特別法である借地借家法が優先して適用されます。しかし、動産の賃貸借契約であれば、原則として、民法の規定が適用されることになります。もっとも、契約当事者の間で、民法の規定とは別の取り決めをすれば、それが優先することになります。いわゆるレンタル契約では、当事者のニーズに応じた、特殊な契約内容が盛り込まれています。通常の動産賃貸借とは、かなり異なった新しい契約が、ビジネス上、いろいろと結ばれているのです。ここで挙げた具体例では、業者によってレンタル契約の内容は、微妙に異なっています。たしかに、レンタル業については、まだ歴史も浅いため、商慣習もそれほど確立していません。各業者はそれぞれ工夫して、レンタル契約を利用者と結んでいます。ただ、多くのレンタル契約に、ある程度共通しているところもあります。通常の動産賃貸借では、賃貸人は、目的物である動産を貸してしまえば、ほとんどすべきことはなくなります。しかし、レンタル契約では、整備・点検・操作などのアフターサービス(保守)も義務として残ります。保証の範囲内なら、修理も行います。実際のところ、精密機械の多い事務機器や工作機械などでは、引渡し後の専門家によるアフターサービス(保守)は、利用者にとっては非常にありがたいものです。もっとも、レンタル契約の内容は、各業者、レンタルする物件の種類、約款(多くの利用者との契約が可能になるようにあらかじめ定型的に業者が定めておく契約条項)によって、かなり異なっています。その当事者間だけの特約を設けることもあります。

リース契約とは何か

「リース契約」も比較的新しい契約なので、これといった定型があるわけではありません。ここでは、もっとも多用されている形態について、簡単な解説をしておきます。前述のレンタル契約では、登場するのは、賃貸人と賃借人だけです。これに対して、リース契約で登場するのは、物件の売主とリース会社、ユーザー(利用者)です。利用者に物件を購入するだけの資力がない場合に、まず、これに代わってリース会社が物件を購入します。売主はリース会社から、物件の代金を一括で支払ってもらいます。リース会社は、買い取った物件をユーザーに賃貸借します。このときの賃料は、実質的・経済的に見ると、リース会社が物件の売主に対して立て替えた代金を利息つき分割払い返済したのと同じものになります。ユーザーと契約関係があるのは、リース会社です。これならリース会社が、ユーザーに物件の購入資金をローンで貸した方が単純でよいのでは、と思うかもしれません。しかし、リース契約では、物件の所有権はリース会社にあるので、ユーザーが返済不能・破産となった場合には、物件を引き上げることができ、そのまま担保になるのです。リース会社にとっては、非常に有利かつ安全に収益(利息)が挙げられるのです。それなら、ユーザーが途中で解約したら、立替代金分は回収できないのでは、という疑問も生じるでしょう。しかし、リース契約の内容として、途中で解約する場合には、残期間に応じた損害金が支払われるようになっています。しかも、物件に欠陥があってもリース会社は責任(瑕疵担保責任)を負わないのが原則であり、管理・点検についてもユーザーの負担となっています。このような内容のリース契約は、いわゆる「ファイナンスリース」(金融リース)と呼ばれています。一見すると、リース会社とユーザーの間は賃貸借契約ですが、実際のところは、金融取引なのです。もっとも、リース契約についても、業者や目的物件によって内容は異なってきますし、当事者間で特約を設けることもできます。

作成にあたっての注意点

レンタル契約にしても、リース契約にしても、まだまだ標準化された契約ではありませんので、公証人に嘱託するときには、各条項は法律的に有効か、何か問題はないかなど、よく相談すべきです。レンタル契約、リース契約に共通して留意すべきなのは、物件の種類、設置場所、賃料とその支払方法・期限、違約金・損害金の発生については、最低限明確にしておくということです。物件の種類については、メーカー名・型番・年式・種類・名称などを正確に記載します。なお、自動車や船舶のように登録制度がある場合には、その登録番号などを記載します。公証役場には、登録証の写しなどを持参するとよいでしょう。さらに、その当事者間での特約があれば、その内容を詳細に記載しておきます。また、リース契約では、登場するのが3者なので注意を要します。物件の保守・点検について、売主と契約する場合には、リース契約とは別個の契約(保守契約)を締結することになります。物件の所有者はリース会社ですが、占有者はユーザーです。そこで、後日のトラブルを防止するために、物件には、ネームプレートなどをつけておいて、権利関係を明確に示しておくべきです。物件が複数にのぼる場合には、物件目録を準備しておきましょう。