債権譲渡・債務引受についての公正証書の作り方

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債権は譲渡できるのが原則

債権とは、特定の人が特定の人に対して何かを請求することができる権利です。権利の一種である点では、土地や自動車のような物を所有する権利と同じです。そのため、一つの財産として、他人に売ったり、あげたりすることができるのが原則です。しかし、人に対する権利なので、土地や自動車などとは違って、移転が目に見えるわけではありません。また、この例で言えば、鈴木さんの佐藤さんに対する債権を鈴木さんから山田さんへ移転する合意がなされても、それだけでは佐藤さんにはわかりません。そこで、特別な配慮が必要になってくるのです。

債権譲渡契約の公正証書作成の際に注意すること

以下の点に注意する必要があります。

①譲渡できる債権であること
債権譲渡は原則として自由です。ただ、特定の画家に絵を描かせる債権のように性質上許されない場合、扶養を請求する権利や恩給を受ける権利のように法律上許されない場合、当事者間で譲渡禁止の特約が結ばれている場合には、譲渡することはできません。

②債権を特定する
譲渡する債権は、明確に特定します。発生原因(何の契約かなど)・日付・債権者・債務者・金額などを記載しておきます。

③譲渡の原因を示す
債権を譲渡することになった原因を記載します。「債権の売買」、「債務弁済のため」などと記載します。

④債務者の承諾
債権譲渡は、債権者(譲渡人)と譲受人の間で成立します。しかし、債務者としては、自分の知らない間に譲渡されると、だれに対して返済すればよいのか分からなくなってしまいます。そのため、譲渡人から債務者への通知または債務者の承諾が必要になります。また、譲受人が債務者以外の第三者に対して、債権の取得を主張するには、この通知または承諾が確定日付のある証書によってなされなければなりません。
一番確実なのは、債権者(譲渡人)・譲受人・債務者の 三者で、同時に公正証書を作成しておくことです。債務者の承諾が、確定日付のある公正証書によって表されているので、債務者に対しても、第三者に対しても、譲受人は新しい債務者であることを主張することができます。もし、債務者が参加してくれなかったら、内容証明郵便(だれが、だれに対して、どんな内容の郵便を送ったのかについて、郵便局が証明してくれる特殊な郵便)によって、債権譲渡を債務者に通知しておくとよいでしょう。

⑤執行認諾約款をつける
譲渡の原因となった売買や代物弁済だけではなく、債務者の執行認諾約款も記載しておくと強制執行が可能となります。

債務引受とは何か

債権が移転されることができるように、債務も移転させることができます。これを「債務引受」といいます。前述の例で言えば、山田さんの鈴木さんに対する債務を、十分な資力のある田中さんが債務引受してくれれば、山田さんにとっては好都合です。債務引受には、「免責的債務引受」と「重畳的債務引受」があります。免責的債務引受とは、もともとの債務者と引き受けた者とが交代する場合です。原則として、債務者の承諾が必要です。重畳的債務引受とは、もともとの債務者と引き受けた者も、いっしょに債務者となる場合で、結果的には、保証人を得たことと同様になります。債権者にとっては、こちらの方が有利といえます。債権者と引き受けをする者との間だけで契約できます。

債務引受の公正証書作成の際に注意すること

以下の点に注意する必要があります。

①債務の特定
債務について、発生原因(何の契約かなど)・日付・債権者・債務者・金額などを記載して特定します。

②免責的債務引受か重畳的債務引受か
後日のトラブルを避けるために、いずれの債務引受かを明確に記載しておきましょう。

③執行認諾約款をつける
債務を引き受ける者についても、執行認諾約款を記載しておくと、いざというときに強制執行ができます。