債務・葬儀費用は相続財産から控除する

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相続人の所得税、固定資産税は控除可能

被相続人の借入金などの債務や被相続人について要した葬儀費用は、遺産総額から控除され、控除された価格をもとに相続税が計算されます。

控除することができる債務は、被相続人が死亡したとき現存する債務で確実と認められるものに限られます。

葬儀費用は債務ではありませんが、債務控除が認められています。

なお、被相続人に課税される税金で、被相続人の死亡後、相続人などが納付することになった所得税、固定資産税などの税金については、被相続人が死亡したときに確定していない債務ですが、控除可能な債務に該当します。

ただし、相続人などの責任に基づいて納付し、申告が期限後になったことなどで徴収された延滞税や加算税などは控除することはできません。

また、被相続人が生前に購入したお墓の未払代金など、非課税財産に関する債務は、債務控除の対象となりません。

債務控除が限定される人がいる

債務控除をすることができるのは、その債務などを負担することになる相続人や包括受遺者(遺言により、遺産の全部または何分のいくつというように、遺産の全体に対する割合で財産を与えられた人)に限ります。

相続人や包括受遺者であっても、相続または遺贈により財産を取得したときに日本国内に住所がない人については、以下のいずれの要件も満たさないとき、控除できる債務の範囲が限定され、葬儀費用も控除することはできません。

【イ】相続や遺贈によって財産を取得したときに日本国籍を有していること
【口】被相続人もしくは財産を取得した者が、被相続人の死亡前5年以内に日本国内に住所を
有したことがあること

葬儀費用と認められるもの

葬儀費用として控除が認められるのは、通常、次のようなものです。

【イ】葬儀や葬送に際して要した費用などや、それ以前に火葬、埋葬、納骨に要した費用(仮葬
儀と本葬儀を行ったときにはその両方にかかった費用が認められる)
【ロ】葬儀などの前後に生じた出費で、通常葬儀などに欠かせない費用(通夜などにおける食
事代、心付け等)
【ハ】葬儀にあたり、お寺などに対して読経料などのお礼をした費用
【二】死体の捜索または死体や遺骨の運搬にかかった費用

葬儀費用と認められないもの

一方で、次のような費用などは、控除できる葬儀費用とは認められません。

【イ】香典返しに要した費用
【ロ】墓石や墓地の買入れ費用や墓地の借入れ費用
【ハ】初七日や法事などに要した費用
【二】医学上または裁判上の特別の処置に要した費用