売却しやすい更地を準備して納税対策

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納税の基本は現金一括払い

相続税の申告は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に行う必要があります。そして、原則として、この申告日までに、現金で一括して納税しなければなりません。反対に、仮に相続財産より債務が多い場合は、3カ月以内に相続を放棄する手続きをとらなければ、「単純承認」となり、多額の債務を引き継いでしまう可能性もあります。相続税を期限までに払えない場合には、特例として税金を年賦で支払う延納という制度や、相続財産そのものを相続税に充てる物納という制度があります。

しかし、延納の場合には、年利4%越の利子税がつくだけでなく、延納期間中の経済的・精神的負担は相当なものです。また、物納の場合も、国が収納するための適格要件(実測や樹木の伐採や整地など)を満たさなければ、認められないなど、不利な点が少なくありません。なお、土地を物納する場合、その土地は、相続税評価額で納税されます。この相続税評価額は、実際の土地価格の80%ですから、市場で売却した方が、手元に現金が残ります。土地価格が上昇しているときであれば、なおさら売却した方が有利でしょう。相続後3年10カ月以内に、不動産を売却した場合は、支払った相続税のうち不動産に対応する相続税を、譲渡所得税の計算時に取得費に加算する特例があります。すなわち、相続税を支払うために土地を売った場合、相続税相当額までは、譲渡所得税が課税されないのです。

節税だけが相続対策ではない

とはいえ、土地は、そう簡単に売却できるものではありません。例えば、相続税対策として、空地にアパートなどの収益物件を建てる場合、収益性の悪い建物を建てるようなことをすると、相続時に、売却して納税資金を捻出することができないという事態にもなりかねません。アパートなどの収益物件は、収益性が悪いと処分しにくく、仮に更地にして処分しようにも時間がかかり、入居者の立退料などの費用もかかります。また、こうした収益物件を物納しようとしても、よほどの事情がないかぎり、物納財産として認めてもらえません。相続税対策とは、ただ節税することだけを指すのではなく、スムーズに納税することも含めて行うものです。どの土地を有効利用して、どの土地を納税用にするかまで、事前に考えておくことが大切なのです。