認知された子は非嫡出子として相続人になる

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非嫡出子も参加していないと分割は無効

遺族が知らなかった子であっても、被相続人の生前にすでに認知されていた子がいれば、非嫡出子であっても相続権があります。子であるかどうかは、相続開始時の戸籍だけではなく、古い原戸籍や除籍も調べて確認します。親の新戸籍には古い事項が載らないからです。相続人全員の参加しない遺産分割協議は無効となり、分割をやり直さなければなりません。ですから、遺産分割前であれば、非嫡出子の存在をしっかりと確認してから分割協議を開くようにしたほうがよい でしょう。

もし認知されていない子がいる場合には

認知の子の存在を知らないで、遺産分割をした場合も同様です。認知された子の存在は戸籍をよく調べればわかることなので、分割協議をやり直さなければなりません。しかし、非嫡出子で、認知がなされていなければ戸籍にまったく記載のない場合もあります。この場合は、不可抗力ですから、知らないで遺産分割があったとしてもやむを得ません。

ただ、たとえ記載がなくてもその子は、父または母の死後3年間は、認知の訴えを起こすことができ、裁判で認知が認められれば、相続権を得ることになります。認知が認められたのが、遺産分割の前であれば、当然相続人として分割協議に参加することになりますし、分割の後であれば、価額(金銭面)だけによる支払いの請求権を得ることになります。

なお、認知されていた子が相続開始を知らなかった場合は、相続回復請求権により、相続権を得ることができます。ただし、この相続回復請求権を行使できるのは、相続権の侵害を知ったときから5年以内、相続開始のときから20年以内と定められています(民法884条)。

現行法上非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1

さて、ここで少し嫡出子と非嫡出子の関係について見ておきましょう。子には嫡出子(婚姻による子)と非嫡出子(婚姻によらない子)の区別があります。非嫡出子であっても、認知されると相続権が生じます。認知の請求は、家庭裁判所に推定される父親の死亡後3年以内なら申し立てることができます。

非嫡出子の相続分は、嫡出子の2分の1と定められています。非嫡出子自身には責任はないのに、相続分が少ないのは不平等ではないかという考え方もあります。これまでに憲法14条の法の下の平等に違反しているという主張が出て、これを認めた高等裁判所の判例も出ますが、最高裁判所は憲法違反とは認めていません。非嫡出子の相続分との対比で、配偶者の相続分の割合の定め方も平等原則に違反するのではないかが一応問題となります。

たとえば、相続人として配偶者と子ども1人がいるケースで、各自の相続分がそれぞれ2分の1となるのは、配偶者に不利であり、より多くの相続分が与えられて然るべきではないかとの主張です。しかし、夫婦で築いた財産は夫婦共有の部分があり、夫(または妻)の財産には本来妻(または夫)の潜在的な持分が含まれていますので、これを確保するという考え方が平等原則に反するとは言えないでしょう。