マイナス財産の遺産分割

スポンサーリンク

マイナス財産の遺産分割

金銭債務については、相続開始と同時に相続分の割合に応じて分割されます。仮にその後の遺産分割協議で、相続分と異なる分割が行われたとしても第三者に対抗(主張)できません。なお、分割された債務について、他の相続人は連帯責任を負わないとするのが判例です。そのため、債権者は、事前に担保権を設定するなどして債権が回収できない場合のリスクを減らす必要があるわけです。

金銭債権は相続分の割合の債務額と同時に承継されますから、被相続人からの借金があった場合、少々ややこしい話になります。相続人はまず自分が債務者である債権を取得します。そして、債権者と債務者が同一人となりますから、債務と債権が相殺(同種の債権同士を対当額で消滅させること)され消滅します。また、債務者である相続人の相続分以外の債権部分は他の相続人が取得します。その分は相続人が分割で債権者となり、改めて債務者である相続人に請求することになります。

保証債務は相続されるのか

保証債務とは、遺産を構成する債務の一種で、保証人と債権者による契約にもとづく債務です。相続人は相続分に応じて弁済の義務を負うことになります。しかし、判例では、身元保証、銀行取引の(連帯)保証など、継続的取引による債務の連帯保証人である被相続人が死亡後に生じた債務は、受け継がなくてよいこととしています。

治療費・入院費・葬式費用

治療・入院費用は、可分債務ですから、相続分に応じて各相続人の負担となります。これらは、被相続人の債務ですから、相続人自身の立替分でも第三者からの請求でも、債務として扱われます。葬式費用は被相続人の死後の費用ですから、遺産ではありませんが、その負担については、相続人または遺産負担とする考え方と喪主負担とする考え方があります。

どちらも一般の慣習によるもので、決定的な判例はありません。第三者が支払った場合は、民事調停または訴訟により負担と支払額を確定させる事ができますし、相続人の1人が喪主で、その費用の負担の話し合いがつかない場合、家事調停または審判で判断してもらう事ができます。葬式費用は、地方や宗教によって異なりますが、民法では葬式費用は「身分に応じて為したる葬式の費用」ということに限られています。

判例は、「葬式費用とは、死者をとむらうのに直接必要な儀式費用で、棺棺柩その他の葬具、葬式場設営、読経、火葬費用、人夫の給料、墓地の代価、墓標の費用などにあてられる」としています。また、参列者の接待費用は葬式費用に入るといえます。葬式の費用には、その一部に香典があてられますが、香典返しや義理による負担などの問題があり、香典をどこまで葬式費用に当てて償却してよいのかはあいまいです。なお、後の法要法事などの費用は含まれないとした判例があります。