相続回復請求権を行使する
たとえば、「相続分がないことの証明書」を偽造された場合や、相続人であることを無視された場合には、侵害された相続を受ける権利の回復を求めることになります。この権利を相続回復請求権といいます。
この相続回復請求権は、侵害者に対して相続権を主張して、相続分にあたる財産の全部の引渡しを要求する権利です。つまり、個々の財産についての請求権だけでなく、相続人としての地位そのものの回復を要求する権利です。相続財産回復請求権の行使方法は限定されていませんが、現実問題としては訴訟によることになります。弁護士に相談したほうがよいでしょう。
なお、この権利は、侵害の事実を知ったときから5年間、相続開始のときから20年間で時効消滅します。このように時効消滅の規定があるのは、侵害者に対していつまでも相続回復請求権を行使できるとなると、事情を知らない第三者が表見相続人(実際には相続人ではないが、外見上、相続人に見える者。侵害者などがこれにあたる)から当該相続財産を買った場合、いつまでも真の相続人から目的物の返還を請求されることになってしまい、法律関係が不安定になるからです。