裁判上の和解による交通事故の解決
裁判上の和解とは、裁判所が仲介に入り、係争中の当事者がお互いの譲歩案に合意し、争いを解決することです。裁判上の和解には、訴え提起前の和解」と「訴訟上の和解」があります。
「訴え提起前の和解」と「訴訟上の和解」
裁判土の和解には、訴訟を起こす前に行う「訴え提起前の和解」と、訴訟を起こした後に行う「訴訟上の和解」の2種類があります。訴え提起前の和解は、実務土は即決和解と呼ばれ、当事者が簡易裁判所の指定日に出頭することにより、その場で和解調書が取られます。この和解調書は、判決と同じ効力を持ち、公正証書よりも強い執行力を持ちます。訴訟上の和解は、訴訟中に裁判官から勧告されます。これに応じるかどうかは当事者の自由ですが、裁判の争点が支払額に絞られているケースでは、かなり強く勧告されることもあるようです。和解が成立すると、訴え提起前の和解と同様に和解調書が作成されます。
和解のメリット
和解には、以下のようなメリットがあります。
- 判決までいく場合に比べ費用が安い(即決和解の場合)
- 判決と同じ効力を持つ和解調書が作成される
- 判決後の上訴が無いため、成立と同時に解決する
- 常識にかなった柔軟な解決が可能
- 双方の合意によって成立するため、スムーズな賠償が期待できる
- 判決とは違い、申し立ての範囲を超えた根本的な解決が可能
和解は、双方が和解案に合意すれば、すぐに解決となります。合意後に作成される和解調書は、確定した判決と同じ効力を持ちますから、あとから不服を唱えることも、和解で解決した内容を再び訴訟で争うことも原則としてできません。万が一、相手が和解で約束したことを行わなかっだ場合は、和解の内容を実現するために、裁判所に対して強制執行の申し立てをすることもできます。また、判決は勝訴・敗訴ということがはっきりするため、敗訴に納得しない相手が上訴するなどして徹底抗戦し、時間や費用がさらにかかる場合もあります。この点、和解の成立は、被害者も加害者も合意の上で成立していることですから、しこりも残らず、そのあとの支払いもスムーズにいくことが考えられます。