調停による交通事故の解決
調停とは、第三者である調停委員と裁判官が立ち会い、当事者間の話し合いをリードしながら紛争を解決することです。訴訟よりも費用は低く抑えることができます。
調停調書は確定した判決と同じ効力を持つ
調停により当事者双方の合意が得られると、申し立ての趣旨、原因、合意された内容(和解内容)を記載した調停調書が作成されます。調停調書の効力は、確定した判決と同じであり、調停した内容を再び訴訟で争うことは原則としてできません。もし、一方が調停した約束ごとを実行しない場合は、調停した内容を実現するために、裁判所に対して強制執行の申し立てができます。
調停のメリット
調停は、調停委員会の許可を得れば、弁護土以外の人も代理人になることができます。弁護土費用に見合わない少額の紛争や、被害者が重症で調停に出席できない場合などは、家族や交渉に詳しい人を代理人に立てることができます。
調停のメリット
- 手続きが簡単
- 訴訟に比べ費用が安い
- 訴訟に比べて進行が早い
- 非公開で手続きできる
- 弁護士以外の代理人を立てることができる
- 第三者が加わることにより、客観的な判断で話し合いが進む
- 調停調書は確定した判決と同じ効果を持つ
調停の開始から解決までの流れ
調停の申し立てがあると、裁判所は調停の期日を決めて、申立人と相手に呼び出し状を送ります。通知ざれた日時に出席すると、担当者に呼ばれますので、調停委員とともに調停室へ向かいます。なお、急病や仕事の都合でやむを得ず出席できない場合は、臨時の代理人を立てることができます。実際の調停では、2名の調停委員が当事者双方の主張を交互に聞く形で話し合いが進みます。ここで当事者は、納得できない点やその理由を主張しなければなりません。調停委員は、その主張を聞いた上で第三者として公正な立場で解決点を見つけ、調停案を提示します。提示された調停案に双方が合意すれば、調停は成立します。ただし、何度か話し合いを行つで、お互いの主張する賠償金額に大きな隔たりがあり、合意による解決が見込めないと判断されれば、調停成立の見込みがないとして、調停が打ち切られます(調停不能)。この場合、申立人は最終的な手段としては訴訟を起こすことも考えなければなりません。なお、調停の不成立後、2週間以内に訴訟の手続きを取ると、調停の申し立てがあっだ時点での起訴扱いとなります。
調停によって解決が見込まれるケース
調停委員は、元裁判官や弁護士、学識経験者で構成されており、公平中立な立場で話し合いをリードします。感情のもつれによって、被害者と加害者の問で示談が不成立に終わった場合や、プロの交渉人に話し合いの主導権を握られてしまっで、これを不満に思っでいる被害者などは、調停を申し立てるとよいでしょう。
調停が向いているケース
- 被害者と加害者が感情的になってスムーズに話ができないとき
- 損害の規模が小さく、弁護士費用が割に合わない事案
- 保険会社の担当や会社の事故係など、交渉のプロが加害者の代理人だったとき
- 相手のペースで交渉が運び、被害者の主張が通らないとき
相手の住所を管轄する裁判所に申し立てる
調停は、被害者・加害者のどちらであっても申し立てることができます。申し立て先は、相手の住所(会社の場合はその所在地)を管轄する簡易裁判所となり、人身事故の場合は、被害者は自分の住所を管轄する簡易裁判所でも申し立てることができます。なお、当事者双方の合意があれば、全国各地の簡易裁判所でも申し立てることが可能です。
調停を申し立てるための必要書類
調停の申し立て方法は、簡易裁判所に置いてある「調停中立書」に必要事項を記入し、手数料分の収入印紙と郵便切手を添えて裁判所の窓口へ提出します。なお、申し立ての理由となる事故や損害を証明する書類などは、調停期日までにできるだけ早く裁判所に提出しなければなりません。
必要書類
- 調停申立書
- 資格証明書類…当事者が法人の場合は登記簿謄本、代理人によるときは委任状
- 証明書類…交通事故証明書、事故発生状況報告書、診断書、診療明細書、領収書、休業損害証明書、交通費内訳書、給与明細、所得税申告書自営業の場合)など
調停の申し立てに必要な費用
裁判所に支払う手数料は、損害賠償請求額によって異なります。例えば、30万円までは5万円ごとに300円か加算され、請求額が35万円から110万円の場合は10万円ごとに250円か加算されます。また、書類送付のための郵便切手が別途必要となります。なお、印紙や郵便切手の詳細な金額は、調停中立書にも書かれており、裁判所の窓口でも教えてもらうことができます。