交通事故の示談交渉で問題となる最近の事例

スポンサーリンク

示談交渉の代理人は弁護士以外でもできるのか

有料で示談の代理人となって交渉をすることは、弁護士以外は禁止されています。ただし、保険会社の示談担当者が代理人となって交渉することは認められています。また、有料の場合ですので、無償で代理人となって友人等に代わって交渉することは禁止されていません。交通事故の示談交渉では、かつて示談屋が問題となったことがあります。これは、有料で相手と示談交渉するのですが、結果的には多額の費用を請求されるなど、絶対に利用してはいけません。(財日弁連交通事故相談センター(無料)などの機関を活用してください。

損害賠償の示談交渉に相手の保険加入会社の示談担当者が来るというが

今日の自動車保険(任意保険)は示談代行が特約として付いていますので、この場合、事故が起きたときには加害者の保険会社の担当者から連絡があり、この人と交渉することになります。こうした自動車保険加入会社が示談を代行することは法的にも認められています。したがって、保険会社の担当者との交渉を拒絶すれば、交渉は暗礁に乗り上げてしまいます。交渉相手にこだわらず、現実的な対応をするのがよいでしょう。この示談担当者は損害賠償についてのプロで専門知識がありますので、被害者としては、これに負けない知識を身につけておく必要があります(法律相談所で弁護士に相談するのもよい)。交渉で重要なことは、損害賠償額について一応自分で計算してみることです。こうしておいて、保険会社の示談担当者が提示する額と比較してください。

加害者が死亡したときは誰と損害賠償の交渉をすればよいか

加害者が死亡することはめったにありませんが、ないわけではありません。例えば、左側を走行中の大型ダンプカーに居眠り運転の自動車がセンターラインを越えて突っ込み、大型ダンプカーの運転手(被害者)がケガをし、自動車の運転手(加害者)が死亡した場合などです。この事故の場合、自動車保険(任意保険)に加入していれば保険会社(損害額が120万円以下なら自賠責保険でまかなえる)に損害賠償の加害者請求をすることができますが、自動車保険に加入していない場合は少々厄介です。というのは、加害者の相続人を探して賠償請求の請求をする必要があるからです。それも相続人が複数の場合、相続分に応じて請求しなければならず、請求手続きは煩雑になります。

子どもが運転するバイクにはねられたが親は関係ないといって交渉に応じないが

加害車両(バイク)が示談代行付の自動車保険に加入してぃれば、保険会社の示談担当者が交渉に訪れますが、自動車保険に加入してぃなければ、加害者と直接、交渉することになります。交通事故などの不法行為で損害賠償責任を負うのは、年齢が12~13歳からとされており、バイクの免許が取得できる年齢では賠償責任があります。では、12~13歳以上の少年の事故だと親が必ず責任を負うかというと必ずしもそうではなく、親の子に対する監督に過失がなければ親に賠償責任を負わせることはできません。ただし、子ども名義でバイクは購入しているが実際は親が金を出している、親元で生活しておりガソリン代を親が負担しているなどの場合には、親は運行供用者として賠償責任があります。なお、通常、未成年者の親(親権者)が、子の法定代理人として交渉相手となります。どうしても示談交渉に応じなければ、調停や訴訟などの法的手段をとることになります。

事故により入院しているが保険会社の担当者は来るが加害者は挨拶にも来ないが

加害者が挨拶にも来ないことは、往々にして加害者が任意保険に加入している場合にあるようです。というのは、示談代行付の自動車保険の場合、保険会社が示談交渉を行ってくれますので、差し追って出向く必要がないからです。こうした場合、損害賠償額に影響するかどうかですが、それほど大きな影響はないようです。ただし、刑事上は、加害者が心より謝罪し反省することにより、被害者がその心情をくんで、加害者に対する処分を寛大にして欲しい旨を捜査官や裁判所に求めると、刑が軽くなるなど、刑事処分については重大な影響があります。したがって、加害者の刑事処分が決まっていなければ、加害者が挨拶にもこないことを強く訴え厳罰を求めるべきです。

加害者が刑事処分をされるということで示談を急いでいると言うが

示談の有無は刑事処分に大きな影響があります。示談が成立していれば、誠意をもって事故解決の後始末をし、事故に対する反省があったことになり、刑事処分において刑の情状酌量がなされるからです。また、示談成立後に、被害者より処分を寛大にして欲しい旨の要望があれば、刑事処分の結果に重大な影響が出ます。結論としては、加害者から示談を急ぎたいと言われても、納得がいかなければ示談する必要はありません。ただし、示談前に刑事処分が決まると、加害者が割と横柄になることがあります。それは、加害者が、それ以上の刑事処分を受けるおそれがなくなるからで、後の示談交渉は、保険会社に任せればいいと考えるからです。

事故の状況について相手との言い分か違うが示談交渉ではどうすればよいか

事故が起きた現場での警察官の調書の作成の場合に、相手との言い分か食い違っている場合があります。例えば、交差点で青信号で進入したか、黄信号で進入したか、赤信号で進入したかなどをめぐり、事故当事者の異なる主張がなされることがあります。車の後方にいた目撃者がいれば、その人に証人となってもらい証言をしてもらえばよいのですが、こうした証人がいなければ、厄介なことになります。信号機についてのウソの場合、信号サイクルを調べても青 だったのか、黄色だったのか、赤だったのか特定することは極めて困難だからです。こうした事故での示談交渉は、過失割合をめぐって対立することは必定で、当事者での解決は困難な場合が多いでしょう。専門機関や弁護士に相談・依頼するのがよいでしょう。

自分に過失はないと思っていたら保険会社の担当者は20%の過失相殺をすると言うが

交通事故の損害賠償で、その事故での全損害について事故当事者がその過失の割合について損害を負担することになります。つまり、双方の被害額の合計が100万円の場合、Aの過失が70%、Bの過失が30%とするとAが70万円、Bが30万円の負担となります。さて、交通事故においてはこの過失相殺は、事故の態様に応じて定型化が進んでいます。過失割合認定基準表によれば、過失が0%の場合はほとんどなく、交差点の事故で青信号に進入した車と赤進行で進入してきた車の事故などの場合だけです。保険会社の担当者は、十分その辺りの知識はあると思われますので、その根拠を聞いて、口弁連交通事故相談センターなどの過失割合認定基準表で確認してください。

自分だけではなく違法駐車の車が悪いと加害者が主張するが

事故が起きる原因には、運転手の過失だけではなく、その他の要因が重なって起きる場合もあります。道路の瑕疵のために起きた交通事故、設問のケースのように駐車違反の車があったことで起きた事故など多々あり、こうした事故と原因と結果の関係を因果関係と言いますが、どこまで責任を問えるかが問題となります。違法駐車があったために見えなかった児童をひいて死なせたケースで、駐車違反をした車の運転者に責任があるとして、損害賠償の支払いを命じた判決があります。

過失割合は相手の側が大きいのになぜ、相手車が高価ということで私が賠償額を払うのか

交通事故の損害賠償は、双方の過失割合に応じて全損害額をその割合で負担します。そのため、過失割合が少ないのに、結果的には相手に損害金を支払うという奇妙なことが起こります。たとえば、A車とB車が事故を起こし、Aの過失割合が30%でBの過失割合70%で、A車の修理費が20万円、B車は外車の高級車で修理費が80万円とします。そうすると全損害額は100万円で、これをAとBが過失割合に応じて負担することになるので、Aの負担は30万円でBの負担が70万円ということになります。しかし、現実には、A車の修理(20万円)とB車の修理(80万円)は、所有者であるAとBがそれぞれ行い費用も支払うことから、結局は過失割合の少ないAが過失割合の多いBに10万円を支払うことになるのです。

損害賠償額は被害者の収入によって差がでるそうですが人の命は平等ではないのか

法律では、人は平等とされています。しかし、こと損害賠償額に関してはそうではないようです。たとえば、死亡事故の場合、損害賠償額の算定では、葬儀の費用、死亡慰謝料などは誰もが原則として同額ですが、逸失利益(生きていれば将来得られたであろう損害)は事故で死亡した人の収入により大きく異なります。単純に言えば、同年齢の二人が死亡した場合、一方の死亡者がもう一方の死亡者の倍の収入だとしたら、通常、逸失利益も倍になるのです。損害賠償額の逸失利益の算定では、このようにその人の事故時の収入を基に生きていたらいくらの収入を得られたかという、いわばフィクションの収入を計算します。つまり、収入が低い人は、いくら社会的に立派な人だったとしても、高収入の人より逸失利益は低いのです。これは、損害賠償を金銭的に導き出すときに、その根拠となる確かなものが現実の収入しかないからです。ただし、これは損害賠償の逸失利益に対する現在の考え方であり、今日のように収入の増減が激しい状況が続けば、別の合理的が妥当な計算方法で算定されることになる可能性はないわけではありません。

男女間の損害賠償額の格差は男女平等の原則に反するのではないか

交通事故の損害賠償額は、通常、男女間では異なります。女性の死亡事故の場合、男性と大きく異なるのは、逸失利益(生きていれば将来得られるであろう損害)です。有職者の場合は、その収入を基に計算されますので、その収入の多寡によりますが、家事従事者の場合には原則として賃金センサスの女性労働者の平均賃金が算定の基礎となり、この女性労働者の平均賃金は男性労働者の平均賃金よりも低いからです。ただし、女児の逸失利益については、全労働者の平均賃金によるべきとした判例があります(東京高裁・平成13年8月20日)。なお、家事労働者の逸失利益については、生活費控除などで、できるだけ格差を縮めようとする努力はなされていますが、後遺障害の逸失利益では生活費控除はなく効果は期待できません。こうした調整をするのであれば、思い切って全労働者の平均賃金に切り替えた方がよいのではと思われますが、現状は前記のとおりです。

加害者は保険金からの支払いだけでなく本人にも自腹を切ってもらいたい

交通事故の損害賠償の示談では、原則としてどのような条件で示談するかは自由です。したがって、保険金以外に加害者自らが一定の金額を自腹を切って支払うとする示談をすることも可能です。実際、加害者が事故で起訴され、実刑判決になりそうときに、自腹を切ってでも早く示談したい場合などのときに、こうした例があります。しかし、通常は保険金で損害賠償額が賄える場合に、加害者本人が自腹を切ることはあまり考えられません。というのは、こういう事故にそなえて保険に加入しているからです。もし、保険会社の提示してきた額に不満があるならば、保険会社の示談交渉の担当者に上乗せを強く要求すべきです。保険会社としては、その上乗せ要求額が法律上妥当なもの(最終的には裁判所が判断)であれば、保険会社は支払わざるをえないのです。

示談交渉で、加害者が自分にはそんな損害賠償をするお金がないと言うが

交通事故の加害者が自動車保険に加入していれば別ですが、保険に加入していない場合、いくら高額 でよい条件で示談したとしても、相手に支払能力がなければ、その示談の内容は「絵に描いた餅」と 同じです。というのは、支払いがなければ、強引に腕力で取り立てるなどのことはできず、強制執行 による手続きが必要だからです。また、強制執行で取立てをしようとしても、相手に差し押さえるお 金や物がなければ、結局は強制執行は空振りとなり、回収どころが費用倒れとなります。こうした場 合の示談では、賠償額の支払いを月賦(ローン)にしたり、示談を公正証書にしたり、保証人を立て てもらうなどの対策が必要です。専門家に相談することです。

示談成立後に後遺症が出たときは、後遺症についての損害賠償を支払ってもらえるのか

示談が当事者(交通事故の被害者と加害者)の合意により成立すると、原則として、後で示談の内容 を変更する(やり直す)ことはできません。通常、交通事故の示談書には「本示談書に記載した事項 以外に、一切の債権債務がないことを確認する」などという条項が入っているからです。示談は和解 という契約の一種とみなされ、こうした条項も有効とされています。ただし、交通事故では、例外が あります。それは、示談後に後遺症が出た場合で、この場合にはその後遺症に伴う損害賠償を請求す ることができます(判例)。なお、後で後遺症が出たとして損害賠償を請求するとなると、本当に事 故による後遺症なのかなど、厄介な問題も生じ、訴訟ともなりかねません。事故にあったら必ず病院 に行って検査をし、後遺障害が残るおそれがあれば、症状固定後に示談をするといった対応も必要で す。

物損事故で、事故報告をせずに内々で示談するとどうなるのか

人身事故か物損事故事故かを問わず交通事故が起きた場合、当該車両等の運転者は最寄りの警察署に 報告する義務(道路交通法72条)があります。この規定に違反して報告しないと3月以下の懲役または 5万円以下の罰金に処せられます(同119条)。しかし、現実には、なんらかの事情(警察に調べられ たくない、面倒だ、スピード違反などの違反行為がばれるなど)で物損事故が起きたことを隠すため に、示談金を渡すなどして報告をしない例もあるようです。こうした報告がない場合は、後で後遺症 が出たなどの場合に困ったことになります。というのは保険会社に保険金の請求するには交通事故証 明書が必要で、事故の報告がなされていないと、交通事故証明書の発行は難しくなります。では、内 々の示談の効力はどうかと言えば、これは有効ですが、後にむち打ち症などの後遺症が発覚した場合 など、その損害賠償の交渉は難しいことになります。

夫の運転ミスで同乗の妻が重傷を負ったが妻への損害賠償の支払義務があるのか

夫の運転ミスで同乗中の妻が負傷した場合、法律上は妻は「自賠法3条の他人にあたる」として、損害 賠償の請求を認めています(判例)。「妻が夫に損害賠償を請求する」と言えば、夫婦ゲンカのよう で、何だか穏やかでないなと思われる人もいるかもしれませんが、これは保険金の請求を前提とした 話なのです。つまり、夫婦の側から見れば、妻に保険会社から損害賠償金の支払いがあるということ なので、家族の収入となるということです。なお、本例と同種の例として、好意で乗せた同乗者がケ ガを負った場合がありますが、この場合も好意同乗者は「自賠法上の他人」にあたり損害賠償の請求 ができますが、通常は、過失相殺や慰謝料の算定において一定割合あるいは一定額を減額されます。