自賠責保険金の被害者請求は
自賠責保険は、被害者救済のために制定された自動車損害賠償保障法(以下、自賠法と略)により設けられた自動車保険で、自動車を使用する者は加入を強制されています。
違反者は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
行政罰は、違反点数6点で免停です。自賠責保険については、被害者が直接請求できることは、自賠法16条により明言されています。
自動車保険は、加害者が被害者に損害金を支払い、その分を保険会社が補填するのが本来の流れです。治療継続中のため、総損害額が確定しない場合であっても、すでに支払った費用が10万円を超えたときに、10万円単位で請求できる内払いの制度があります。
これは加害者、被害者双方から請求できます。
加害者が損害の支払いに応じない場合には、被害者は救済を受けることができません。
治療費や入院費用にも困っている場合に、示談成立前でも保険金の支払いに応じてくれるのが「仮渡金」の制度です。
これは被害者請求のみで、死亡事故の場合には290万円、傷害事故の場合には、傷害の程度によって、40万円、20万円、5万円の3段階があります。
なお、加害者請求の場合は被害者に賠償金を支払って2年以内、被害者請求の場合は原則として、事故が起こってから2年以内(ただし、死亡の場合は死亡日から、後遺障害の場合は後遺障害の症状固定日からそれぞれ2年以内)に保険会社に請求しないと時効となり、保険金(損害賠償額)が支払われませんので、注意が必要です 。
任意保険金についても被害者請求ができるのか
任意保険の対人事故について被害者請求ができるのは、自家用自動車総合保険(SAP)の加入者で、次の一つの要件をクリアーした場合です。
- 被害者と加害者(被保険者)との間で損害賠償について判決が確定した、または裁判上の和解あるいは調停が成立した場合
- 被害者と加害者との間で示談が成立し書面にされた場合
- 保険会社の支払いを受けた場合に、それ以上の請求をしないという趣旨の書面を出す場合
- 加害者(または相続人)が破産または行方不明のとき
- 損害賠償の額が保険金の限度額を超えることが明らかな場合
もちろん、支払われる保険金は支払限度額の範囲内です。
なお、自家用自動車総合保険に加入していれば、対物事故についても、被害者請求が認められます。
対物事故についての要件は、対人事故の場合とほぼ同じですが、損害総額が保険金額を超える場合は認められません。