死亡するまでにかかった費用は全額請求できるか
一口に交通事故により死亡した場合でも、即死の場合と救急車で病院に運ばれ、手術や治療を受けたが 1週間後に死亡したというようなケースに大別できます。死亡事故による損害賠償請求のできる項目は、次の図のとおりですが、具体的には、実際に支出を余儀なくされた積極損害、死亡したために得られなくなった財産的損害(逸失利益)と、被害者の受けた精神的な苦痛の損害賠償である慰謝料に分けられます。また、死亡までの治療費などの積極損害も請求できます。被害者が即死か、入院・手術後の死亡かで、損害賠償の請求に差が出るのは、積極損害と慰謝料の点です。交通事故の損害賠償については、その大半が定型化・定額化が図られています。慰謝料については、傷害事故の場合には、入院期間と通院期間に応じて慰謝料がいくらかを算出します。また、死亡事故の場合には、死亡者が一家の支柱であったなどの身分により、慰謝料額が定額化されています。即死の場合には、慰謝料については定額化されている慰謝料額が支払われますが、入院・手術等を受けた後に死亡したという場合には、これに入院期間に応じた慰謝料額(傷害事故の場合を参照)が加算されることになります。
死亡までに実際にかかった費用は請求できる
入院・手術等受けた後に死亡した場合の積極損害については、傷害事故の損害賠償の個所で述べたことが、入院・手術等の場合に適用されることになります。すなわち、治療費、入院費、手術費、付添看護を頼んだ場合には、付添看護費、入院雑費、交通費など、実際に支出を余儀なくされた費用が該当します。これらの費用が、即死の場合の積極損害にプラスされることになります。