示談では損害賠償額(慰謝料)は自由に決められる

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示談をするときには後遺症について別途取決めをする

交通事故の示談というのは、交通事故によって発生した損害賠償(慰謝料)の問題を、被害者と加害者(代理人を含めて)とが譲歩しあって話合いにより決めて解決を図ることです。示談は話合いですから、お互いが納得すれば、損害賠償額(慰謝料)をいくらにするかは自由に決められるのです。ただし、法律的には示談も和解契約(民法695条、696条)の一種ですから、一度示談が成立すると、決まった金額以上の金は請求できなくなります。後になって、慰謝料の分の請求が洩れていたことがわかっても、ダメです。ですから、一般的には、示談書の末尾には、「本示談書に記載された事項以外には、債権債務がないことを確認する」旨の一項を入れます。例外は、示談成立後に後遺症が発生した場合です。後遺症の場合、示談成立時に、後遺症の分も含めて示談をしたことが明らかな場合を除いて、後遺症の分を別に請求できるというのが判例です。

交通事故の損害賠償については定型化、定額化が図られている

例えば、物を壊したという損害賠償請求ですと、物の値段、買い換える費用などが損害賠償額を決める基準となりますが、人身事故の慰謝料の場合、いくら請求してよいかわかりません。物が壊れたときなどの賠償額は自由に決められるとはいっても、おのずから相場がありますが、人身事故については相場を出すことは困難があります。例えば、傷害事故の慰謝料は、被害者が傷を負ったことに対する精神的な苦痛に対する損害賠償です。かつては、同じ足一本を亡くした事故について、北海道の裁判所と東京の裁判所とでは慰謝料額に大きな開きがありました。このような地域によるバラつきをなくし、増加する交通事故による損害賠償訴訟に迅速に対応するため、東京、大阪、名古屋の裁判所により、損害額の定型化、定額化したものが公表されていました。現在では、いくつかの基準が公表されていますが、その一つは日本弁護士会の交通事故相談センターが、最近の判例、実務の動向、物価・賃金水準との経済的な諸事情を考慮して作成した交通事故損害額算定基準を2年に1度発行しています。これから解説する損害額の基準は、原則としてこの「交通事故損害額算定基準21訂版」に基づくものです。