離婚申立ての原因で一番多いのが「性格の不一致」
離婚訴訟を起こす場合には、その前に、家庭戴判所で離婚調停を行わなければなりません。これを調 停前置主義といっています。 この家庭戴判所に持ち込まれる調停事件には、ストレートに離婚した いという申立てが多いのは当然ですが、それ以外にも、離婚せずにやりなおしたい、離婚はいいが子 供をどちらが引き取るか、あるいは離婚はOKするけど財産分与をこれくらいほしいなど、申し立て られる原因は種々様々です。このような離婚トラブルの原因のうち第一位が、「性格の不一致」と言 われるものです。もともと結婚は、お互いに生まれも育った環境も全く異なる二人が、共同生活を送 るわけですから、性格が一致しないというのは当然のことですし、一緒に生活してみて初めて結婚前 にはわからなかったお互いの性格がわかることも、また当然です。やさしい性格だ、趣味が同じだ、 と思って結婚しても、母親べったりのマザコン夫だということは、結婚まではわからないかもしれま せん。何もかも、妻よりも母親のことを優先されたのでは、妻としておもしろいはずがありません。
単に「性格の不一致」だけでは裁判所は離婚を認めてはくれない
裁判所は、性格の不一致だけを原囚として離婚を認めるわけではありません。確かに、性格の不一裁 は、法定離婚原因の一つである「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当する場合もあります。ただ 、その前提として、夫婦生活が回復しがたいほどに破綻しているかどうか(円満な夫婦生活を回復す る可能性はないか)、夫婦関係を継続するために十分な話し合いや努力がなされたかどうか、という ことが問題となります。当然、離婚請求が法廷に持ち出されたということは、夫婦間の話し合いや離 婚調停で、夫婦のどちらかが離婚に反対しているわけですが、裁判所は夫婦双方の反省や努力により 、あるいは周囲の協力や援助いかんによっては、円満な夫婦生活を回復できる余地があると判断すれ ば、離婚判決の請求を破棄することができます(民法770条2項)。たとえば、夫が母裁と同じ寝室で 寝る、洋服は母裁に着せてもらう、母裁と一緒に風呂に入るなど、常識ではとうてい考えられないよ うな行動をとるために、愛情は失われ夫婦共同生活も絶望的に破綻し(別居状態がある程度継続して いるなど)、どんなに努力しても円満な夫婦生活を回復するとは認められない、というような状況が あれば、裁判所も離婚を認めてくれるでしょう。
マザコン夫と別居中で離婚したいが、つきまとわれ困ったとき
別れた配偶者あるいは別居中の配偶者につきまとわれて困っている場合、相手方の行為が暴行、脅迫 、名誉棄損などの犯罪にあたる場合は、警察に対して告訴することができます。そこまではいかない が、つきまとわれて困っている場合には、ストーカー規制法による保護が受けられます。