実費のほかに弁護士会で定めた着手金と成功報酬とが必要
弁護士に離婚事件を依頼するのに必要な費用は、最初に実費+着手金、事件終了時に報酬ということになります。実費はだれが訴訟をやっても同じです。 訴状に貼付する印紙代、提出書類のコピー代、交通費、電話代その他となります。かつては、着手金と報酬については弁護士会で一定の基準を定めていましたが 現在は廃止されて個々に弁護士が定めることになっています。依頼者の資力や事件の難易と請求する経済的利益の額、実際に得られた利益の額によって、その額 をあれこれ修正せざるを得ないところに、難しさがあります。あえて弁護士費用の目安をいえば、離婚と親権者指定だけを請求する場合の着手金の目安は40万 円~60万円です。慰謝料300万円と財産分与2000万円を離婚と併せて請求する場合には、着手金の目安は前記の40万円~60万円+30万円~100 万円(慰謝料、財産分与請求の分)となります。これを請求されて争う側に立つと、請求される額と争う額との差額がその裁判により求める利益となりますの で、もし全額を争うとなるとやはり着手金は同額となります。この他に報酬もあります。
減額してもらう方法もあるので相談してみるとよい
依頼者が先日までは主婦で、今はアパートを借りてパートに出ており、子どもを抱えているという妻であれば、基準額通りの費用をポンと支払える人はあ まりいません。依頼者が収入のある夫なら、着手金の40万円~60万円くらいは払えるのが普通かもしれません。しかし夫の側に右の金額の慰謝料と財産分与 を請求するとしても、あるいは請求される立場にあっても、着手金140万円~180万円は高いと思われるのではないでしょうか。廃止された弁護士報酬基準 では、資力の不十分な依頼者には減額すること、あるいは事件終了の時の報酬を高くする(相手から金銭的給付を得られるので)代わりに着手金を減額すること を認めていました。依頼者の事情に応じて着手金40万円~60万円を適正妥当な範囲まで減額したり、また報酬の基準額の2~3割増額して着手金を減額する こともできるでしょう。しかしさらに報酬についても着手金を減額したから報酬も減額するとなると、弁護士としてもなかなか割り切れるものではありません。 依頼者が子どもを抱えているとなると明日からの生活が困難となり、つい同情もしますし、報酬についてもおまけすることもあります。ともかく離婚訴訟は一緒 に請求する慰謝料や財産分与によって弁護士費用が違ってくるのですが、離婚と親権者指定だけを求める場合の費用が最低額なのですから、着手金と報酬の合計 は80万円~120万円程度にはなるということです。
離婚訴訟を起こしたいので弁護士を頼みたいが
家庭裁判所の調停ならば、弁護士を頼まずに本人でも十分やれます。しかし、訴訟となると専門的な知識や法廷での駆け引きなど、素人が簡単にやれるも のではありません。離婚は人生の一大事です。財産分与、慰謝料、親権、養育費など金もからんできます。やはり、弁護士に相談し、意見を聞いて弁護士に依頼 するのがベターでしょう。知り合いに弁護士がいるとか、誰か紹介してくれる人がいればよいのですが、いなければ各都道府県にある弁護士会の法律相談セン ターで相談してください。紹介もしてもらえます。