どちらも親権者になりたくない場合はどうする

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子どもをひきとれない事情がある場合には

親権者についてもめるというケースの大半は、夫婦の双方による子どもの奪い合いであるものですが、中には、父親も母親も子どもをひきとりたくない、あるいはひきとることができないという場合もあります。たとえば、具体的には、「妻は病弱で入退院をくり返す状態だし、かたや父親は借金だらけで、経済的にとても子どもを養育できるような状態ではない」とか、「父親は子どもを養育できる精神状態ではなく、一方、母親はすでに再婚が決まっていて、子どもをひきとることがむずかしい」というようなケースがあります。このような場合にも、子どもの親権をもつことをめぐって争うケースと同様に、調停や裁判(訴訟)で親権者がどちらになるかを決定します。

やむを得ない事情があれば親権を辞退できる

「収入面で不安がある」とか、「再婚相手がいやがる」という理由ならば、まだ考慮の余地があると思いますが、中には、子どもをひきとるのはどう考えてもムリというケースもあります。たとえば、「刑務所に服役しなければならない」とか、「重病におかされている」あるいは「長期にわたって海外で生活しなければならない」といった事情がある場合は、裁判所の審判によって認められれば「親権を辞退する」ことができます。このようにして、やむを得ない事情によって一方の親が親権を辞退した場合、当然のことながら、もう一方の親が親権者となるのが一般的です。しかし、仮にもう一方の親にもまたやむを得ない事情があったり、あるいは親権者としてふさわしくないと裁判所が判断した場合には、子どもは養育施設に入れられることになります。親にかわって、国が子どもの監護者となるわけです。また、「母親がやむを得ない事情で親権を辞退することになり、父親が親権者になるといっているが、父親が十分に子どもを育てられるかどうか疑いがもたれるため、父親を親権者とするのは問題がある」ような場合も、裁判所が子どもを施設に収容するように判断を下すこともあります。いずれにしても、どうしても親自身が子どもの面倒をみることがむずかしいようなら、親権者は親にしておいて、親族を監護補助者にするという方法も考えられますから、社会福祉事務所や児童相談所などで、どのようにすべきかを相談するといいでしょう。離婚はあくまで双方の親の事情です。なんの罪もない子どもの気持ちを傷つけることだけは極力さけるように親は最善の配慮を尽くすべきです。

問題のある親権者は、親権を喪失することもある

親にあるまじき行動ではありますが、中には、どちらも子どもをひきとりたくないとおしつけ合った結果、いやいやながら子どもをひきとった親が、子どもに暴力を加えたり虐待をしたりするという可能性も考えられます。こうした行為は、親権の濫用であり、いうまでもなく見過ごすことのできない行為です。このような事態が明らかになった場合、子どもの親族、あるいは検察官の申立てによって、親権を喪失させることができます。また、暴力的な行為に出なくても、子どもを学校にいかせない、子どもの養育を放棄しているような場合も、親権を喪失することになります。さらに、児童福祉法によって、児童相談所の所長も、不適格と判断した親権者に関して、親権の喪失を申し立てることができます。親権喪失の申立てがあった場合は、どのようになるか決定するまで、親権が停止され、祖父母などが親にかわって親権代行者となることもできます。申立てによって親権の喪失が確定し、子どもの親権者がいなくなった場合には、親族や児童相談所長らによって、裁判所に子どもの後見人の選任を申し立てることになります。