調停では相手と顔を合わせない

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顔を合わせなくて済むように裁判所でも配慮してくれる

訴訟は当事者双方の言い分と証拠に基づいて裁判所が一方的に、一刀両断的に判断を下すのですが、調停手続きはそうではなく、当事者の合意により事件を解決しようという手続きですから、本人の気持ちが大きい働きをします。ことに離婚事件のような身分法にかかわる事件は、財産問題のように打算だけで解決できるものではなく、愛情や嫌悪など本人でなければ分からない要素が多くありますから、本人の意向を中心に調停を進めざるを得ないという面があります(金銭などの争いであれば多い方がよいに決まっているのですから、本人の感情などは関係がなく、したがって他人である代理人の判断だけで進めることができます)。しかし、本人が多忙であったり、あるいは法律や裁判所に慣れていないということもありますから、代理を全く許さないわけではありません。したがって、家庭裁判所の審判や調停にも代理人を頼んで出頭させることはできます。ただし、今も述べたように離婚の性質上、本人の意向が重要ですから、本人の出頭も命じられることになり、そうすれば代理人と共に本人も出頭しなければならなくなります。また、調停成立の期日には必ず本人が出頭しなければなりません。たとえ命じられなくても、本人が出頭して偽らない気持ちを述べる方が、代理人任せよりも有利に進むに違いありません(同じ家庭裁判所の事件であっても離婚など財産の争いと異なるところです)。それに家庭裁判所は、当事者双方ができるだけ顔を合わせないですむよう配慮がしてあり、待合室も別々になっています(昔の裁判所庁舎にはそうではない場合もありましたが、今はたいてい建て替えられています)。調停室に呼ばれるのも別々です。したがって顔を合わせることについて心配をしすぎる必要はありません。

弁護士以外の者を代理人として頼む場合には裁判所の許可がいる

もし、代理人を頼むのでしたら、代理人は弁護士を頼むべきでしょうが、法律の規定は訴訟の場合とは違っています。訴訟では民事訴訟法の規定により、簡易裁判所以外の事件では弁護士でないと代理人になれません(簡易裁判所の事件でも裁判官による代理人選任の許可が必要です)。家庭裁判所の審判や調停には非訟事件手続法の適用があり、弁護士でない者を代理人とすることができますが、家事審判規則により、やはり裁判所の許可が必要です。親兄弟などは許可が出ることも多く、その場合は代理人になることができます。ただし、本人の出頭を命じられたときは、本人が出頭しなければならないことは前に述べたとおりです。調停では、本人が出頭するのが原則となっていますので、家庭裁判所から呼出状がきたのに出頭しないと、裁判所の調査官が事情を調べ、正当な理由がなければ出頭を勧告します。それでも出頭しない場合は、5万円以下の過料の制裁があります。

調停は初めてでどんな態度で臨めばいいか

調停は、夫婦間の離婚問題を解決するために行われるもので、本人から話しを聞かなければなりませんので、本人出頭が原則です。調停では、調停委員が二人の間に立って話合いを進めてくれます。一般には、調停委員が、独立した調停室で、個別に、夫婦生活の様子、うまくいかなかった原因、子どもの問題、収入、財産状態、今後の見通しなどを聞き取り、双方の言い分の相手方に伝えます。誤解があれば誤解をとき、お互いに歩み寄れないか、あるいはやり直せないかなど説得して調整を図ります。調停は、何回も開かれますが、8割は6か月以内に解決しています。