調停が成立すると調停調書を裁判官が作成してくれる
調停で話しがまとまり、調停調書が作成されれば調停成立です。調停の席でできた合意の内容を記載した調書が、裁判所によって作成されます。調停手続き中は顔を出すことの少ない裁判官が出席し、書記官が立ち会い、調停調書が作成されます。離婚調停であれば、「申立人と相手方は、本調停により離婚する」と記載され、このときに離婚が成立することになります。もちろん、調停の話し合いの中で、親権者や財産分与についても合意に達している場合には、その内容が記載されます。この場合、当事者が作ったり、調書に判を押したりするのではありません。裁判所が職権で調書を作成するのです。裁判官が調停内容の原稿を筆記し、調停内容を読み上げ、当事者に確認させます。とはいえべらべら読み上げられる内容を理解することは難しいものです。よく聞いて、不審があれば納得できるまで聞き返し確認することです。メモを取ることもできます。メモを取る機会はこの時だけですから、注意してください。この時にいい加減に聞き流すと真意と異なる調停ができてしまいます。大事なことですから曖昧な態度をとらず嫌なら嫌、わからないので納得できないなら納得できないと、はっきり主張すべきです。それを無視して調停がなされることはありません。
調停調書に誤記や内容に間違いがあったら訂正してもらう
また裁判所の作成する調書ではあっても、書面を作るのはワープロ要員ですから、誤記や間違いが全くないとは断言できません。調停調書を受領したら、よく内容を確認すべきです。間違いがあれば直ちに裁判所へ申し出て訂正してもらうべきです。ただし、これは書面の文字の間違いのことです。調停の内容そのものは調停成立のときに決まります。後で変えてもらうことはできません(新しい調停を起こして合意による変更ができれば別です)。調停成立の後は当事者双方への調停調書正本の送達申請をします。書記官室で備え付けの用紙に記入し押印すればよいのです。書面ができ上がるのに数日掛かりますが、郵便で送達されます(略式で取りに行くこともあります)。調停調書は判決と同じ効力がありますから、これによる強制執行ができます。そのためにも相手方への送達が必要です。
調停成立後に離婚届を提出する
離婚の調停が成立したからといって、裁判所が市区町村役場に、離婚についての届をしてくれることはありません。離婚届と裁判所での調停とは別の手続きなのです。離婚届は、調停を申立てた人が、調停の成立から10日以内にします。その際、調停調書の謄本を添えて提出が必要です。その他は、協議離婚の場合と同様です。なお、調停離婚では家庭裁判所の調停成立時に離婚は成立していますので、離婚届は事後の報告的なものです。
口下手なので自分の意見を十分に述べられないが
離婚裁判とは違って、調停はこれこれの理由がなければ申立てができないということはありません。離婚自体は合意しているが、子どもどちらが引き取るか、慰謝料はどちらがいくら払うか、財産分与はいくらにするかなどでモメている場合にも、調停の場で合意できれば判決と同じ効力の調停調書を作成してもらい、解決できます。調停委員会の場では口頭で意見を述べたり、事情を説明するわけですが、口下手で話しをするのが苦手だという人は、書面で提出することを勧めます。調停委員にも相手にも読んでもらいたい場合には、二通提出します。