賃貸不動産管理委任契約公正証書

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賃貸不動産管理委任契約とは

管理会社に管理を委託すると、賃料や共益費の集金、賃料の値上げ、清掃、保守管理なども含め、運営管理の一切を仕切ってくれます。

賃貸不動産管理委任契約公正証書

本公証人は、当事者の嘱託により、その法律行為に関する陳述の趣旨を縁取し、この証書を作成する。

○○○○(以下「甲」という)と××不動産株式会社(以下
「乙」という)は、甲所有の別紙物件目録記載の不動産(以下
「本件不動産」という)の管理の委託に関して、次のとおり契約
する。
第1条(本契約の目的)本契約は、甲が乙に対し、甲所有の不動
産の管理につき、これを委任し、乙がその業務を行うことを目
的とする。
第2条(管理内容の明示および委任)甲は、乙に対し、本件不動
産に関し、次の行為をなすことを委任し、乙はこれを承諾した。
① 賃貸借契約の締結、改訂および解約
② 地代家賃等の請求および受領
③ 共益費の請求および受領
④ 地代家賃等の値上げがある場合についての説明、請求およ
び受領
⑤ 本件不動産の清掃、保守
⑥ 本件不動産の保存、修繕等に必要な工事の発注その他の行

⑦ 前6号に関連する一切の行為
第3条(報酬とその支払方法)業務委託報酬は、乙が第2条第2
号に定められた権限の代理受領のうち、その賃料の○割とす
る。
2 乙は、前項における報酬相当額を差し引いた上で、甲の指定
した銀行口座にその残金を支払うこととする。
第4条(業務報告等)乙は、紛争の存在等本件不動産に関し、知
り得た事項については、遅滞なく甲に対し事情を報告し、甲の
指示に従って、交渉の代行その他本件不動産の管理上、必要な
行為を行うものとする。
2 前条の事由が、賃貸借関係において、通常生すべき事項に属
さない場合であっても、前項の適用を受ける。
第5条(受領した金銭等、引渡時期)乙は、本件不動産の賃借人
より受領した賃料等を、毎月末日締切計算の上、翌月15日まで
に、甲に引き渡さなければならない。
第6条(費用等の立替)乙は、本件不動産の管理業務に関し、甲
の負担すべき費用を立て替えて支払った場合には、前項の引渡
金から、これを差し引くことができる。
2 前項の場合において、乙は領収証その他立替支払の事実を証
すべき書類を添付しなければならない。
3 乙は、本件不動産の保存、修繕等に必要な工事について、甲
のために立替えた費用があるときは、前2項と同様に代理受領
した賃料からこれを差引くことができる。
第7条(委任状等の交付義務)甲は、乙の要求があるときは、乙
に対し、速やかに委任状その他契約の委任を証するのに必要な
書類を交付するものとする。
第8条(契約期間)本契約期間は平成○○年○月○日までとする。
2 前項の規定にかかわらず、甲乙いずれにおいても、1か月以
前に相手方に通知することにより、本契約を解約することがで
きる。
第9条(合意管轄)本契約に基づく権利義務の紛争が生じた場合
には、甲の住所地を管轄する裁判所を第一審裁判所とすること
をここに甲乙双方が合意する。
第10条(協議)本契約事項に定めのない事項については、甲乙協
議して、別途、これを定める。
以上
本旨外要件
住 所  東京都○○区○○町○丁目○番○号
職 業  会社員
貸 主  ○○○○ 印
昭和○年○月○日生
上記の者は運転免許証を提出させてその人違いでないことを証明させた。
住 所  東京都○○区○○町○丁目○番○号
職 業  会社員
借 主  ×××× 印
昭和○年○月○日生
上記の者は印鑑証明書を提出させてその人達いでないことを証明させた。
上記列席者に閲覧させたところ、各自その内容の正確なことを承認し、下記に署名・押印する。
○○○○ 印
×××× 印
この証書は、平成拾七年○月○日、本公証役場において作成し、下記に署名・押印する。
東京都○○区○○町○丁目○番○号
東京法務局所属
公証人  ○○○○ 印


この正本は、平成拾七年○月○日、貸主○○○○の請求により下記本職の役場において作成した。
東京法務局所属
公証人  ○○○○ 印

 

事務処理を円滑にするための規定を作ること

委託する側としては、委託する管理内容をよく見ておく必要があります。後日の紛争を回避するためには、委任事項はできるだけ明確に定めておくのが望ましいといえますが、他方で、ある程度柔軟に対処することも、円滑な事務処理のためには必要です。そこで、文例では、紛争回避のために第2条で委任事項を個別的に列挙するとともに、円滑な事務処理のために第7号で「前6号に関連する一切の行為」という包括的規定をおいて、調和を図っています。乙が宅地建物取引業者である場合、宅地建物取引業法による規制(とくに34条、35条、35条の2)を受けることに注意してください。委任契約の場合、受任者は信頼関係の維持のために、できるだけこまめに事務処理の状況や問題点などを委任者に報告するようにしましょう。