売掛金債務と預り金返還債務との相殺契約公正証書

相殺契約とは

債務者に対して、こちらも買掛金や手形債務などの債務を負担していれば、相殺という手段で、売掛金債権や商品代金債権を、簡単に回収したのと同じ効果をあげられます。相殺とは、債権者と債務者とが互いに同種の債権をもっている場合に、対当額について双方の債権を消滅されることです。相手がこちらに200万円の債権を、こちらが相手に300万円の債権をもっている場合には、相手が支払いをすべき時期が過ぎていれば、相殺するという意思表示(通知)をするだけで、200万円について相殺することができます。

相殺契約公正証書

本公証人は、当事者の嘱託により、その法律行為に関する陳述の趣旨を縁取し、この証書を作成する。

○○産業株式会社(以下「甲」という)と△△商事有限会社
(以下「乙」という)は、相互に有する債権債務の相殺に関し、
次のとおり契約する。
第1条(甲の債務)甲は、乙に対し、平成○○年○月○日に、両
当事者間が締結した○○契約に基づき、平成○○年○月○日現
在、下記の債務を有していることを確認する。
買掛金債務    金○○○○○○円
第2条(乙の債務)乙は、甲に対し、平成○○年○月○日に、両
当事者間の締結した○○契約に基づき、平成○○年○月○日現
在、下記の債務を有していることを確認する。
預り金返還債務  金○○○○○○円
第3条(相殺合意)甲および乙は、前2条に掲げる個々の債権債
務につき、期限の利益を放棄した。
2 前項において、甲および乙は、本契約締結の日をもって対当
額につき相殺することを合意した。
第4条(相殺通知書)本契約は、甲乙双方が、相殺通知書を配達
証明付き内容証明郵便で送付することにより、未然に紛争の予
防をはかることとする。
第5条(免責)第3条の相殺の結果、甲が乙に対し有する第1条
の買掛金の残高の支払債務は、乙において、これを免除する。
以上
本旨外要件
住 所  東京都○○区○○町○丁目○番○号
職 業  会社員
貸 主  ○○○○ 印
昭和○年○月○日生
上記の者は運転免許証を提出させてその人違いでないことを証明させた。
住 所  東京都○○区○○町○丁目○番○号
職 業  会社員
借 主  ×××× 印
昭和○年○月○日生
上記の者は印鑑証明書を提出させてその人達いでないことを証明させた。
上記列席者に閲覧させたところ、各自その内容の正確なことを承認し、下記に署名・押印する。
○○○○ 印
×××× 印
この証書は、平成拾七年○月○日、本公証役場において作成し、下記に署名・押印する。
東京都○○区○○町○丁目○番○号
東京法務局所属
公証人  ○○○○ 印


この正本は、平成拾七年○月○日、貸主○○○○の請求により下記本職の役場において作成した。
東京法務局所属
公証人  ○○○○ 印

物品の給付を目的とする債務と金銭債務との相殺契約なども可能

相殺が禁止される債権というものが若干ありますが、取引関係で生じる債権で問題になるものはほとんどありません。また、相殺適状といって、相殺できる時期に一定の制限がありますが、要は、相手方に対する債権が弁済期にあれば大丈夫です。相殺契約は、互いに有する権利義務関係を簡易迅速に整理したい場合において、とくに民法上の相殺ができない場合(たとえば、債権の目的たる給付の性質が異なる場合)に利用されています。金銭債務にとどまらず、物品の給付を目的とする債務と金銭債務との相殺契約なども可能です。なお、文例とは別に、相殺を行うために相手方へ相殺の意思を通知する書面が相殺通知です。通知書には、「債権債務を示し、右債権債務を対当額で相殺致します」。と書きます。実際には内容証明郵便で行います。

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