秘密保持契約公正証書

秘密保持契約とは

ノウハウその他の工業上・産業上の秘密は、いかに秘密性が保持できるかが重要です。その管理には細心の注意が必要で、他社に営業秘密等を開示する必要がある場合には、秘密保持と流用禁止を内容とする契約を締結する必要があります。

秘密保持契約公正証書

本公証人は、当事者の嘱託により、その法律行為に関する陳述の趣旨を縁取し、この証書を作成する。

○○製菓株式会社(以下「甲」という)と有限会社△△開発研究所(以下「乙」という)は、甲が乙に委託した○○の研究開発(以下「本件開発」という)のために甲が乙に開示する甲の秘密事項の取扱に関し、次のとおり契約を締結した。
第1条(本契約の目的)本契約は、甲が研究開発を進める製菓の研究、開発事業において、甲が秘密ととらえる情報に対し、乙がその過程で知りえた場合における秘密保持をその内容とする。
第2条(定義)本契約において「秘密事項」とは、甲の保有する甲の技術、営業、その他甲の業務上の一切の情報であって、甲が乙に開示した時点において甲が秘密として取り扱っているものをいう。
第3条(秘密保持義務と流用禁止)乙は、甲の指定する秘密事項を厳に秘匿しなければならず、甲の書面による承諾を除くほか、原則として、これを第三者に開示もしくは漏洩してはならない。
第4条(使用の許された目的)乙は、秘密事項を本件開発の目的のためにのみ使用することとする。
2 前項以外の目的に使用してはならず、使用した場合は、第9条に規定された損害賠償の責めを負う。
第5条(秘密事項開示の範囲)乙は、以下の条件をすべて満たした場合に限り、本件秘密事項を開示することができる。ただし、開示内容は、必要最小限度とすることを要す。
① 本件開発に従事しかつ当該秘密事項を知る必要のある乙の役員または従業員の請求
② 業務上、秘密事項の了知が必要不可欠な場合
2 乙は、前項に基づき秘密事項の開示を受けた乙の役員または従業員に対し、秘密事項を他に開示・漏洩しないようにさせなければならない。
3 前項の秘密事項の開示を受けた乙の役員または従業員に対し、これらの者が行った行為について、乙は、全責任を負うものとする。
4 乙は、第1項に基づき、乙の役員または従業員に対し秘密事項を開示しようとするときは、事前に当該役員または従業員の氏名およびこれに開示する秘密事項の範囲を書面で甲に通知するものとする。甲に通知した事項を変更する場合も同様とする。
第6条(秘密事項の複写の禁止)乙は、その用途のいかんを問わず、秘密事項が記載または記録されたすべての文書、図面その他の書類または電磁的または光学的記録媒体を複写してはならない。
2 前項の規定は、事前に甲の書面による承諾がある場合には、これを妨げない。
第7条(記録の返還)乙は、本件開発が完了したとき、または、事業の中止もしくは中断があった場合には、直ちに秘密事項が記載または記録されたすべての文書、図面その他の書類もしくは電磁的または光学的記録媒体を、そのすべての写しとともに甲に引き渡すものとする。
第8条(調査権)甲は、いつでも乙に対し本契約上の義務の履行に関し報告を求めることができ、また、乙の営業時間中いつでも乙の事業所に立ち入り、乙の本契約上の義務の履行状況を調査することができるものとする。
2 甲の請求があった場合は、何時にても前項と同様の措置を乙は行うことを要す。
第9条(損害金)秘密事項が第三者の知るところとなった場合には、乙は甲に対し、損害の立証の有無を問わず、金○○○○○円を損害金として支払うものとする。
2 前項は、乙が本契約上の義務の履行につき故意または過失がなかったことを証明したときはこの限りでない。
3 甲が1項の損害金を超える損害を被った場合には、甲は乙に対し、その超過額の損害賠償を求めることができる。
第10条(本契約の有効期間)本契約は、本件開発が完了し、または中止もしくは中断された後、30年間効力を有するものとする。
第11条(合意管轄)本契約における紛争が生じた場合には、甲の住所地を管轄する地方裁判所を第一審裁判所とすることに甲乙双方がここに合意する。
第12条(協議事項)この書面に定めのない事項については、速やかに甲乙双方が協議して、別途、これを定めることとする。
以上
本旨外要件
住 所  東京都○○区○○町○丁目○番○号
職 業  会社員
貸 主  ○○○○ 印
昭和○年○月○日生
上記の者は運転免許証を提出させてその人違いでないことを証明させた。
住 所  東京都○○区○○町○丁目○番○号
職 業  会社員
借 主  ×××× 印
昭和○年○月○日生
上記の者は印鑑証明書を提出させてその人達いでないことを証明させた。
上記列席者に閲覧させたところ、各自その内容の正確なことを承認し、下記に署名・押印する。
○○○○ 印
×××× 印
この証書は、平成拾七年○月○日、本公証役場において作成し、下記に署名・押印する。
東京都○○区○○町○丁目○番○号
東京法務局所属
公証人  ○○○○ 印


この正本は、平成拾七年○月○日、貸主○○○○の請求により下記本職の役場において作成した。
東京法務局所属
公証人  ○○○○ 印

秘密の対象範囲を明確に定めておく事

秘密というのも幅のある規範的な概念ですから、秘密保持契約書の作成にあたっては、秘密保持の対象となる秘密事項の範囲がどこまでなのかを明確にする必要があります。契約当事者自身は会社などの法人であるのが普通ですが、実際に秘密事項を使用し扱うのはその従業員や役員ですから、それらの者によって秘密が洩れることのないようにするために、秘密開示の範囲を制限するなどの配慮も必要です。製造工程や設計図、技術提携の情報、特許権、商標権まで、企業には守らなければならない権利や情報・ノウハウがたくさんあります。このような企業の秘密が侵害されたときに、営業秘密(トレードシークレット)を保護しようというのが「不正競争防止法」という法律です。同法は、①他人の商品表示、営業表示の冒用、②著名表示の無断使用、③商品の形態を模倣した商品を譲渡する行為、④営業秘密を不正に取得する行為等、⑤役務に関する誤認惹起行為、⑥営業上の信用を害する虚偽の事実を流布する行為等を不正競争とします。

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