借入金債務の担保のための代物弁済予約付抵当権設定契約公正証書

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代物弁済予約付抵当権設定契約とは

建物や土地など不動産を担保にとった場合で、債務の弁済ができなくなった場合を想定して予め担保物件であるその不動産を取得するという契約をするケ-スがあります。本来の債務の代わりに不動産という物で弁済させる予約をしておくわけです。これを代物弁済予約といいます。

代物弁済予約付抵当権設定契約公正証書

本公証人は、当事者の嘱託により、その法律行為に関する陳述の趣旨を縁取し、この証書を作成する。

債権者・抵当権者○○重工業株式会社(以下「甲」という)と
債務者・抵当権設定者△△工業株式会社(以下「乙」という)と
は、次のとおり、代物弁済予約付抵当権設定契約を締結する。

第1条(本契約の目的)本契約は、甲が乙に対して有する債権の
履行を担保するため、乙所有の第3条所定の不動産の上に代物
弁済予約を付した順位2番の抵当権を設定することを目的とす
る。
第2条(抵当権設定と被担保債権の明示)乙は、甲乙間の平成○
○年○月○日付金銭消費貸借契約に基づき、乙が甲に対し負担
する下記の借入金債務の履行を担保するため、甲に対し、乙の
所有にかかる第3条記載の不動産(以下「本件物件」という)
の上に順位2番の抵当権を設定する。

(被担保債務の表示)
元 本   金○○○万円
借入日   平成○○年○月○日
弁済期   平成○○年○月○日
利 息、  年○パーセントの割合(年365日の日割計算)
遅延損害金 年○パーセントの割合(年365日の日割計算)
第3条(本件物件の表示)本件物件は、以下のとおりである。

(不動産の表示)
所 在   京都府○○市○○町○丁目○番○号
地 番   ○○番○
地 目   宅地
地 積   ○○・○○平方メートル
第4条(代物弁済予約)甲は、乙が第2条の借入金債務について、
弁済期に達したにもかかわらず弁済しないとき、その選択に従
い、抵当権の実行に代えて本件物件を代物弁済としてその所有
権を取得することができる。
第5条(設定登記義務)乙は、本契約成立後遅滞なく、第1条並
びに前条にかかわる抵当権設定の登記手続および代物弁済予約
にもとづく所有権移転請求権保全の仮登記手続を行うこととす
る。
第6条(予約完結権の行使)甲が本契約にもとづく代物弁済の予
約完結権を行使しようとするときは、乙に対し、下記事項を記
載した配達証明付内容証明郵便をもって通知するものとする。
① 3か月経過後における甲の乙に対する債権の総額
② 本件物件の評価額
③ 本件物件の評価額が前記①の債権額を超えるときは、清算
金として甲が乙に支払うべき金額
2 前項②については、不動産鑑定士の鑑定を基準とすることと
する。
第7条(本件物件の引渡し事由と登記および費用負担)乙が甲か
ら前条の通知を受領した後2か月を経過したときは、乙は、直
ちに本件物件を甲に引渡すことを要する。
2 前項においては、所有権移転本登記手続をすみやかに行うこ
とを要する。
3 前条③の清算金の支払がある場合は、乙は、その精算金の支
払を受けるのと引き換えに本件物件の引渡および登記手続をな
すものとする。
4 前項の引渡および所有権移転登記手続に要する費用はすべて
乙の負担とする。
第8条(合意管轄)本契約書における権利義務に紛争が生じた場
合には、甲の住所地を管轄する裁判所を第一審裁判所とするこ
とを双方、ここにおいて合意する。
第9条(双方協議)本契約書に定めのない事項は、甲乙双方が協
議の上、別途、定めることとする。
以上
本旨外要件
住 所  東京都○○区○○町○丁目○番○号
職 業  会社員
貸 主  ○○○○ 印
昭和○年○月○日生
上記の者は運転免許証を提出させてその人違いでないことを証明させた。
住 所  東京都○○区○○町○丁目○番○号
職 業  会社員
借 主  ×××× 印
昭和○年○月○日生
上記の者は印鑑証明書を提出させてその人達いでないことを証明させた。
上記列席者に閲覧させたところ、各自その内容の正確なことを承認し、下記に署名・押印する。
○○○○ 印
×××× 印
この証書は、平成拾七年○月○日、本公証役場において作成し、下記に署名・押印する。
東京都○○区○○町○丁目○番○号
東京法務局所属
公証人  ○○○○ 印


この正本は、平成拾七年○月○日、貸主○○○○の請求により下記本職の役場において作成した。
東京法務局所属
公証人  ○○○○ 印

 

仮登記担保と抵当権を併用しよう

代物弁済予約においては、対象物に所有権移転請求権保全の仮登記をしておくのが通常です。仮登記をしておけば、競売手続きさえも不安になりますので、手続きにかかる時間やコストも省くことができますし、目的物自体を取得することができるのが特徴です。目的不動産に所有権移転請求権保全の仮登記をしておくため、仮登記担保とも呼ばれています。仮登記担保は、①抵当権の競売手続きのような面倒な手続きがいらないこと、②登記費用が安くすむこと、③何よりも目的不動産そのものを取得できることなどの理由で、それ自体単独でなされたり、抵当権と併用されたりして、広く利用されています。なお、代物弁済の予約、停止条件付代物弁済契約に関しては担保目的ではないものは考えにくいのですが、売買の予約(これも仮登記担保の一種です)については、担保目的でないものも存在します。担保目的か否かは、仮登記権利者が仮登記義務者に対し貸金債権を有するかどうかの点で区別されます。