財産分与の対象となる財産について知つておこう

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退職金や無形財産も対象になる

財産分与の際、清算の対象となるものは以下の通りです。このうち、退職金(あるいは退職年金)については、給料の後払いという性格から、給料と同視 して財産分与の対象となりますが、退職前のケースではまだ退職金がいくら支給されるのかが確定していないので、財産分与の額についてもケース・バイ・ケー スになってくるといえるでしょう。なお、医師や会計士・弁護士のような、一般的に収入の多い仕事についている人が、相手の収入に支えられて資格を取得した という場合、これを無形の財産と評価して財産分与の対象とされることがあります。

  • 預貯金(解約時にお金がもどってくる生命保険を含む)
  • 不動産
  • 有価証券 投資信託
  • 会員権
  • 価値の高い美術品や骨董品
  • 電化製品7家具(ただし新品レベルでなければ経済的価値はない)
  • 退職金
  • 医師や会計土・弁護土などの資格

財産分与の対象外になるものとは?

原則として、結婚前にすでに自分でためておいた預貯金や結婚前に実家からもらってきた財産は、それぞれの固有財産と認められ、財産分与の対象外にな ります。ただし、2人で生活していた間の生活費の不足分を、どちらか一方 の(結婚前の)たくわえでまかない、片方の結婚前の預金はそのまま使わずに残しておいたという場合は、その残った預金は清算の対象になる可能性がありま す。相手の協力があって自分の固有財産を使わずに維持できたような場合も同様です。婚姻中に自分の名義で得た財産についても、現金にした際の金額によって は清算の対象とされることがあります。たとえば50万円で買ったエルメスのバッグは固有財産とみなされても、1000万円で買ったベンツは分与の対象とさ れるというようなこともあります。

共働きの場合の財産分与は2分の1が基本

共働き夫婦が離婚した場合では、「すっぱり半分にわけるべき」という考え方と「財産を築くためにどの程度寄与したかに応じてわけるべき」という考え 方にわかれているのが現状ですが、2人の収入にいちじるしい差がないかぎりは、2分の1ずつ分配するというのが原則になっています。もちろん、夫の名義で 購入した不動産も、基本的に二分することになります。結婚後も専業主婦にならずに働き続ける女性が増えていますが、必要な生活費をそれぞれで折半して負担 し、2人がそれぞれに残ったお金をたくわえた場合の貯金については、固有財産あつかいとなります。また、夫が社長で妻が従業員であった場合は、会社の経営 規模によって違ってきます。小規模な個人企業なら、「会社の財産」も「会社 名義の夫婦の財産」とみなされて清算の対象とされ、妻のとり分は、会社経営に対する貢献の度合いによって決まってきます。

専業主婦の場合の財産分与は一般的に少ない

専業主婦の場合も、夫婦平等を基本として財産は半分ずつであるとする考え方もありえます。しかし、過去の例を見るかぎりにおいては、専業主婦の妻のとり分は20%程度であることが多いといえるでしょう。

不動産を分与する場合に注意すること

不動産分与は、一般的には夫婦が居住していたもち家やマンションなどをわけるということになります。一つの不動産を2人でわけるというのは現金をわ けるのとはわけが違い、手続きや費用などの面でもややこしい作業がでてきます。もっとも多いケースは、不動産そのものをわけずに、どちらかが不動産をとっ て、もう一方が不動産をとったほうから現金を支払ってもらうという方法です。この場合、不動産を取得した側は相手に現金を支払わなければならないため、金 額的にはかなり大きな負担を背負うことになります。離婚のときの不動産の時価が値上がりすることが確実であれば、現金をとるよりもトクなようですが、この ご時世では土地の価格が下がる可能性も大きいと考えられますから、いちがいにどちらが有利であるとはいえないでしょう。また、ローンつきの不動産を取得す る場合は、債権者との話し合いをはじめ、ローンをひきつぐという大へんな作業を続けていかなければなりません。どちらか一方が不動産を取得するケースで、 とり決めた財産分与額よりも不動産のほうが価値が高い場合には、その差額をどう補うかなどを話し合うことになります。そして、とり決めがスムーズに行なわ れたら、双方の合意にもとづいて所有権移転登記の手続きを行ないます。

不動産分与で注意すべきこと

実際に不動産の分与を受けるときには、次のことに注意が必要です。

① 所有権の移転登記をする

不動産の権利は登記をしてはじめて確定的に自分のものとなります。不動産の分与を受けるときは、かならず所有権の移転登記の手続きをしなければなり ません。この手続きは、譲渡を受ける側だけでなく、譲渡する側の関係書類(権利証、印鑑証明書、実印を押した登記のための委任状など)も必要です。

② 借地権や借家権の譲渡は地主、家主の了解を得る

借地上に建てられた不動産を譲り受ける場合には、借地権の譲渡となります。トラブルを未然に防ぐ意味でも地主の了解をとっておきましょう。

財産分与にかかる税金について

財産分与や慰謝料も課税される場合があります。中には、給付される(もらう)側でなく、給付する(渡す)側に税金が課せられることもありますから、注意が必要です。

① 給付する側に課せられる税金がある

財産分与や慰謝料については、現金以外の不動産や株式などに対しては税金がかかります。たとえば5000万円で購入したマンションが時価8000万 円に値上がりしていた場合、この差額3000万円は「譲渡益」となり、不動産を譲渡した側が譲渡益課税を負担することになります。財産分与として妻にマン ションをわたす場合、マンションを手にするのは妻であっても、譲渡する夫が税金を払わなければならないのです。居住用不動産については特別控除制度なども ありますから、税理士に相談してすすめたほうがいいでしょう。

② 給付を受ける側に課せられる税金

不動産を譲り受けた側には不動産取得税が課せられますが、それ以外に関しては、贈与税などの税金を払わなければならないようなことはありません。ただ、財産分与や慰謝料によって高額の現金を得たようなケースでは、税金を支払わなければならないこともあります。