負担付贈与契約公正証書

負担付贈与契約とは

誰かに何かを贈ることを法律的に贈与といいます。贈与は、ある人(贈与者)が相手方(受贈者)に無償で財産的利益を与える、という贈与者と受贈者の合意によって成立する契約です。贈与によって、財産権を受贈者に移転すべき贈与者の義務が生じます。贈与に方式はありません。ただ、書面によらない贈与は、すでに履行が終わった部分を除いて、当事者がこれを取り消すことができます。これは、贈与の意思を明確にするとともに、軽率な贈与を戒め、紛争の発生を防止する趣旨だといわれています。

負担付贈与契約公正証書

本公証人は、当事者の嘱託により、その法律行為に関する陳述の趣旨を縁取し、この証書を作成する。

贈与者○○○○(以下「甲」という)と受贈者××××(以下
「乙」という)は、甲が所有する後記建物(以下「本件建物」と
いう)について、以下の条項に従って負担付贈与契約を締結した。
第1条(本契約の目的)本契約は、第2条に規定する負担付きで
第3条所定の本件建物を贈与することを約し、乙が引き受ける
ことを目的として締結される。
第2条(残債務の重畳的債務引受とその支払い)乙は、甲の次に
示す債務を重畳的に引き受け、本日以降、契約に定められた支
払をなすものとする。

債権者    ○○銀行○○支店
契約     平成○○年○月○日付金銭消費貸借契約
当初借入額  金○○○○○円
残債務額   平成○○年○月○日現在 金○○○○○円
第3条(本件建物の明示)本件建物の詳細は以下のとおりである
旨、ここに表示する。
<本件建物の表示>
所有者(別紙登記簿参照)  甲
所在地  ○○県○○市○○町○丁目○番地
構 造  木造2階建て
第4条(本件建物の引渡)甲は乙に対し、本件建物を平成○○年
○月○日までに現状有姿のまま引き渡すこととする。
第5条(登記と諸費用の負担)甲は乙に対し、平成○○年○月○
日までに、本件建物に関する所有権移転登記手続を行う。
2 登記費用は乙の負担とする。
第6条(公租公課の負担)本件建物に関する公租公課は、平成○
○年○月○日までの分を甲の負担とし、その翌日以降を乙の負
担とする。
第7条(契約解除)乙が第2条所定の債務の支払を遅延し、甲が
その支払をなしたときは、甲は本契約を解除することができる。
2 その他、本契約条項の一に違反したと認められる場合は、甲
が当該違反行為を止めるよう勧告し、なお、是正が見られない
場合は、書面にて契約を解除することができる。
第8条(現状回復)前条に基づいて本契約が解除されたときは、
乙は甲に対し、解除日以降1か月以内に本件建物を明け渡す。
2 乙が前項の明け渡しを遅滞するときは、乙は甲に対し、一日
あたり金○○○○○円の使用相当損害金を支払うこととする。
3 前条に基づく解除がなされたときは、乙は甲に対し、直ちに
本件建物に関する所有権移転登記の抹消登記手続を行う。登記
費用は乙の負担とする。
第9条(原状回復の際の乙の既払い金の帰属)乙は甲に対し、第
2条に基づいて支払った金員の返還を請求できないものとす
る。
2 甲は乙に対し、第8条第2項に定める明渡日までの使用相当
損害金を請求できないものとする。
第10条(管轄裁判所)本契約に係る権利義務に関する訴訟は、甲
住所地を管轄する○○地方裁判所を第一審の管轄裁判所とす
る。
第11条(協議)本契約に定めのない事項または本契約の規定の解
釈について疑義がある事項については、甲および乙は、民法の
契約規定、その他の法令および慣行に従い、誠意をもって協議
し、解決する。
以上
本旨外要件
住 所  東京都○○区○○町○丁目○番○号
職 業  会社員
貸 主  ○○○○ 印
昭和○年○月○日生
上記の者は運転免許証を提出させてその人違いでないことを証明させた。
住 所  東京都○○区○○町○丁目○番○号
職 業  会社員
借 主  ×××× 印
昭和○年○月○日生
上記の者は印鑑証明書を提出させてその人達いでないことを証明させた。
上記列席者に閲覧させたところ、各自その内容の正確なことを承認し、下記に署名・押印する。
○○○○ 印
×××× 印
この証書は、平成拾七年○月○日、本公証役場において作成し、下記に署名・押印する。
東京都○○区○○町○丁目○番○号
東京法務局所属
公証人  ○○○○ 印


この正本は、平成拾七年○月○日、貸主○○○○の請求により下記本職の役場において作成した。
東京法務局所属
公証人  ○○○○ 印

負担付贈与契約のポイント

贈与者は、契約によって負担した義務を、債務の本旨にしたがって履行しなければなりません。目的物を引渡すとともに、不動産なら登記・動産については引渡・債権譲渡は通知というように、第三者に権利を主張できるようにしておくことが必要です。ただ、贈与の目的である物や権利がキズ物だったり不完全なものであっても、原則として、そのまま引渡せば足ります。AがBに家屋を贈与すると同時に、Bに対して、贈与された家屋の一部をAの息子Cに無償で使わせる義務を課すというように、贈与契約の一部として受贈者に一定の給付義務を負担させる契約を、負担付贈与といいます。ここであつかう文例は負担付贈与契約です。

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