示談・和解の公正証書の作り方

和解契約とはどんな契約なのか

雑誌記者をしているCは、仕事を終えて愛車で帰宅する途中、交通事故にあってケガを負ってしまいました。入院するほどではなかったのですが、しばらく通院による治療が必要になりました。もちろん、愛車も損傷を受けています。幸い相手方が誠実な人だったので、治療費や修理費などについては、示談で解決することになりました。何回かの交渉を繰り返して、一定額の賠償金を支払ってもらうことで折り合いがつきました。ただ、Cの知人が、「示談でも後からもめることがよくあるから、明確な形を残したほうがいいよ」とアドバイスしてくれました。Cは、示談も公正証書にできるのか疑問に思いました。

一般に、「示談」という言葉がよく使われていますが、ここでいう示談は、法律上は「和解契約」といいます。和解契約とは、一定の法律関係について紛争が生じた場合に、当事者がお互いに譲り合って紛争を終結させる契約をいいます。示談は紛争を当事者の話し合いだけで解決すること一般をさす言葉です。和解契約の対象となるものに特に制限はありません。契約関係がこじれた場合、土地の境界争い、敵対的企業買収(相手方企業の経営陣の同意を得ないでなされる買収)で現経営陣と買収側の双方が手詰まりになった場合、傷害事件、名誉毀損事件など例をあげればきりがありません。ここで注意したいのは、和解契約が成立したら、後で和解した内容それ自体に反する事実が明らかになっても、それを覆すことはできないということです。これを認めると、紛争を終局的に解決するという和解契約の目的が達成できなくなってしまうからです。ここで問題となるのは、前の例で和解契約締結後にCにむち打ち症のような後遺症が発生するケースです。和解した以上、後遺症については補償されないのでしょうか。この問題については、訴訟でもずいぶんと争われましたが、和解契約時にまったく予想できない重大な後遺症については、和解契約の効力が及ばない(つまり別途損害賠償を請求できる)と判断されています。いずれにしても和解契約によってせっかく紛争を終結させるのですから、公正証書によってその内容を明確にしておくことは有意義です。もっとも、和解契約の内容を相手方が履行してくれないからといって、どのような場合でもすぐに強制執行ができるわけではありません。ただ、一定の金額を支払うことが内容となっていれば、その点については、執行認諾約款をつけておくことによりすぐに強制執行に移行することができます。

和解契約の公正証書作成の際の注意点

以下の点に注意する必要があります。

①紛争を特定する

紛争を明確に特定しなければなりません。紛争当事者・発生日時・場所・事件の種類・概要などを記載します。

②内容は明確かつ簡潔に

和解契約が成立するまでは、いろいろと紆余曲折があるのが通常ですが、そこまでの経緯や感情面などは記載する必要はありません。決定内容をはっきりとさせることが大切なのです。

③紛争を終結させる

以後、お互いに請求権を放棄して、紛争を終結させるという趣旨を明確に示します。

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