遺言の効力は絶対なのか

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遺言できる内容は

遺言は法定相続よりも優先されますが、遺言のすべてが法的な強制力を持つものではありません。民法では、遺言できる行為を以下の項目に限定しています。これらの事項以外のことが遺言書に書かれていた場合でも、遺言書は無効になるわけではありませんが、法的強制力はありません。

① 財産処分

法定相続人がいる場合は、相続人の遺留分を侵害できないことになっていますが、遺産を相続人以外の人にすべて遺贈したり、寄付したりという遺言は可能です。一部が減殺されることはあっても、無効にはなりません。

② 相続人の廃除、または廃除の取り消し

廃除とは、相続人になるはずの人の非行などを原因として、相続権をなくすことです。遺言でも廃除の請求を行うことができます。ただし、認められない廃除理由もありますし、廃除を取り消すことも可能です。

③ 認知

内縁の妻などとの子との間に、法律上の親子関係を創設することです。遺言によって認知することも可能です。

④ 後見人および後見監督人の指定

子が未成年若の場合、被相続人が信頼している人を後見人に指定できます。これは遺言によって指定できます。ただし、指定できるのは、最後に親権を行う人だけです。

⑤相続分の指定または指定の委託

相続人の法定相続分は、民法で決められていますが、遺言によってだけこの変更が可能です。ただし、この場合も遺留分の規定に反することはできません。この相続分の変更の指定を第三者に委託することも可能です。

⑥ 遺産分割方法の指定または指定の委託

遺産の分割方法について、あらかじめ遺言で指定をしておくこともできます。また、分割方法の指定を第三者に委託することもできます。

⑦ 遺産分割の禁止

遺産分割についてトラブルになりそうな場合は、5年以内に限って遺産分割を禁止することができます。

⑧ 相続人相互の担保責任の指定

各共同相続人は、他の共同相続人に対して、お互いに公平な分配を行うために、その相続分に応じて担保の責任を負います。この法定の担保責任を遺言によって変更することができます。

⑨遺言執行者の指定、または指定の委託

遺言では、遺産の登記など手続きが必要となるため、遺言の内容を確実に実行するための遺言執行者の指定ができます。また、その指定を第三者に委託することもできます。

⑩減殺方法の指定

贈与・遺贈が遺留分を侵害する場合には、遺留分の権判者が、この減殺を請求することもあります。この減殺をどのように行うかを被相続人が自由に決めておくこともできます。

遺言を確実に実行するには「遺言執行者」が必要

遺言の内容を実現する「遺言の執行」を確実に行うために、遺言執行者が選任されることがあります。遺言執行者は、相続手続に関する一切の権限をもち、法律的な財産管理、執行の権限を持っています。当事者から一歩引いた第三者である遺言執行者に処理をまかせたほうが、相続争いを避ける事ができる場合があります。遺言執行者は、遺言者が遺言の中であらかじめ指定しておくこともできますが、指定がとくになかった場合には、原則として遺言に従った遺産分割をすることになります。遺言利害関係者が家庭裁判所に執行者の選任の申立を行って決めてもらうこともできます。

ただ、遺言に、①非嫡出子の認知(届出手続が必要)②相続人の廃除とその取消(家庭裁判所へ申立)のような事項が指定されている場合は、必ず遺言執行者を選ばなければなりません。遺言にこれらの記載がなくて、なおかつ遺言執行者の指定がない場合には、執行者を決めずに相続人が行ってもかまいません。遺言執行者選任の申立を行う事ができるのは相続人、受遺者などの利害関係人です。申立先は相続開始地の家庭裁判所になります。添付書類は戸籍謄本です。

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