署名と押印について注意することは

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署名をする

署名は自筆で氏名を書きますが、通称でもかまいません。民法では「自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない」と規定しています。氏名とは戸籍上の姓名のことですが、本人だと判断できれば名前だけの記載でもかまいません。さらに、署名が雅号、芸名、屋号、ペンネームなどであっても、遺言者との同一性が示せるならば有効です。ただし、姓だけの署名については、相続人が家族や親戚であることを考えると、避けたほうがよいでしょう。

遺言書に押す印鑑は

自筆証書遺言と秘密証書遺言の遺言書の押印は、実印を使用しなければならないという制限はありませんし、拇印でもよいと考えられていますが、被相続人本人のものかどうかの判読が難しいため、トラブルになりやすく、できれば実印を押しておくべきでしょう。遺言者の死後、遺言書に押印がないのを知った相続人などが印鑑を押すと、遺言書を偽造・変造したとみなされます。さらに、印鑑を押した人は相続欠格者になる可能性もあります。遺言書を書いたら、きちんと押印したかどうか確認すべきです。

遺言書に署名押印がないときは

自筆証書遺言と秘密証書遺言は、遺言者本人の署名押印が必要です。自筆証書遺言、秘密証書遺言は、署名押印がなければ無効です。署名押印の場所は問いませんが、押印は署名に続けてしなければなりません。ただ、判例には署名押印が遺言書自体にはなく封書にある場合、遺言書と一体の部分に署名押印があったとして、遺言を有効としたものがあります。しかし、封印のある遺言は家庭裁判所において相続人が代理人の立会いのもとで開封しなければならず、これに違反すると封筒が遺言書である証拠がなくなります。秘密証書遺言では、証書への押印のほか、封印もしなければなりません。

署名だけで印が押されていなかったときは

公正証書遺言については、署名があって押印がないということは考えられませんが、自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合には押印を忘れるといったケースもありえます。しかし、これらの遺言の場合、押印が必要不可欠ですから、押印のない遺言については、原則としてすべて無効になってしまいます。なお、押印の種類にはその使用する印鑑によって、実印、認印などがありますが、法律的には使用する印鑑についてとくに指定はありません。しかし、遺言者の意思を正しく伝えるためにも、遺言書に使用する印鑑については、実印を使うようにすべきです。また、サインのような手書きのものはまったく認められません。