相続財産とその評価について知つておこう

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被相続人の財産にも相続できないものがある

相続とは、相続人が、被相続人のもっているプラスの財産(権利)とマイナスの財産(義務)をすべて引き継ぐことです。ただ、被相続人の財産であっても、相続できない財産もあります。一身専属権と使用貸借権の2つです。一身専属権とは、親権や扶養料請求権など被相続人にしか行使できない権利や義務のことです。被相続人の死亡と同時に権利も義務も消滅します。

使用貸借権とは、物を無償で貸借する契約のことです。通常は、貸主と借主の特別な契約関係で成立しているため、契約関係にある人が死亡すると効力を失います。この2つ以外のものは相続財産となり、相続税の課税対象となるものと非課税のものとに分類されます。

相続税法では評価の基準が定められている

遺産の評価は、遺産分割協議の際にとても重要になります。遺産分割協議をするとき、財産の範囲や額を正確に把握し、個々の財産の価値を評価しておかないと、具体的な協議を進めることができないからです。また、評価をしないと、相続税の納税額も算定できません。

まず、遺産全体をチェックし、種類や評価額などを書き出すことが必要になります。もし、分割協議終了後に別の財産が出てくるようなことがあると、その財産については、再度分割協議をしなければならないので、生前贈与した財産の有無などをよく調べます。

時価で評価するのが一般的

実際の評価方法は、相続税法上で、時価で評価すると定められています。相続財産は、すべて現金なら評価は簡単ですが、土地や家屋、有価証券など容易に評価できないケースが大半だからです。実務上は、「財産評価基本通達」に示された時価の基準にもとづいて財産を評価します。

これは、さまざまな財産についての時価の計算方法に関する通達です。ただし、相続開始時と10か月後の納税期限日までに時価が大きく変動することもあります。このため、一定の基準を保つため、時価を評価する日は相続開始日と定められています。なお、生前贈与の場合は贈与を受けた日が評価日です。

ただ、遺産分割をするまでに時間がかかるケースもあり、その間に時価が大きく変動する可能性があります。このため、遺産分割のための評価は実際に分割される時の時価で評価されます。また、相続税法上の遺産の評価とは違い、遺産分割の際の評価方法はとくに定めがありません。ただし、相続人の間で財産の価値について合意できない場合は、何らかの客観的方法で評価する必要が出てきます。

相続税の課税財産

プラスの財産
土地、建物、現金、預貯金等、株式、公社債、ゴルフ会員権、家財道具、書画骨董、立木、牛馬、船舶、自動車、貸付金の債権、貸家・貸ビルの未収家賃・地代、売掛金、受取手形、商品、著作権、特許権、営業権、損害賠償請求権、商標権、借地権・借家権など

プラスの財産とみなされるもの
死亡保険金、死亡退職金、生命保険契約に関する権利、定期金(年金)契約に関する権利など
相続前3年以内の贈与

マイナスの財産
借金、債務、損害賠償など