贈与契約とは

シェアする

贈与契約とは

贈与とは、簡単に言ってしまえばプレゼントの事です。民法では、「贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償にて相手方に与える意思表示をし、相手方が受諾を為すによってその効力を生ずる契約である」と規定しています。

贈与はある人の一方的な意思だけで成立するものではないということです。「あげましょう」「いただきましょう」という相互の了解があって有効になるものです。 契約というと、きちんと書類を作ってハンコを押すと思いがちですが、そうではありません。口約束でも、当事者があることに合意すれば成立し、お互いにその内容を実行しなければならなくなるのです。

これは、たとえ酒の上の約束でも同じことです。中には、アルコールが入るとやたらに気の大きくなる人もいます。 そんな席で、ある人が同僚に「お前に100万円やるよ」と言い出し、相手が「もらっておこう」と言ったらどうなるでしょうか。実は法律上 はこれだけでも立派に贈与契約が成立したことになるのです。

しかし、酔いがさめてから「あれは冗談だよ」となったとき、相手方は、贈与契約の不履行だといって訴えられるでしょうか。贈与は、契約には違いがありませんが、家族や親しい人に対する好意や感謝の気持ちを表わすために行うものですから、まったくの他人間や商取引における売買契約などとは、本質的に異なったものといえます。

そこで、民法では、口約束のような書面によらない贈与については履行に着手しない限り、取り消すことができることとされています。ですから、酒の席で成立した100万円の贈与契約も、酔いがさめてから「あれはなかったことにしてくれ」といわれれば、それで解消してしまうことになります。

書面に残した贈与契約は拘束力が強い

書面による贈与契約については、そうはいきません。利害の反する者の間の取引では、必ず契約書を作り、署名押印しています。契約書を作成することは、それぞれの当事者の意思を明確にし、後日起こりがちな「言った」「言わない」のトラブルを防止する効果があります。書面にした以上は贈与者の意思も明確なわけですから、一方的に取り消しを認めるのは、相手方の期待を裏切ることになります。そこで、書面による贈与には、口約束のものよりも強い拘束力を与えることにしています。

死因贈与とは何か

「私が死んだら300万円を贈与する」と言うように、贈与する人の死亡という条件がついた贈与を「死因贈与」といいます。死因贈与も人の死亡を原因として財産が移転するという点では、相続や遺贈と同じです。ですから死因贈与の場合は、贈与税ではなく、相続税が課税されることになっています。相続税は、相続、遺贈、死因贈与のいずれかで財産を取得した場合にかかってくるわけです。

遺贈と死因贈与の違い

遺贈とは、遺言による財産の贈与のことです。財産を与える相手方の同意を得ないで行う事ができます。贈与は「あげます」「いただきます」というお互いの合意の上に成立する契約です。遺贈では、遺言書を開けてみないとどんな財産をどのくらいもらえるのかわからないという事もありますが、死因贈与では、あらかじめ合意されているわけですから、そのようなことはありません。死因贈与は、贈与者の死亡によって効力が発生する贈与契約です。また、遺言とは違って当事者双方の契約書により締結することができます。口頭での贈与契約も可能です。遺贈と同じく、書面にしてあっても取り消すことができます。この贈与を原因として、生前に不動産に対する仮登記をする事ができます。

贈与でなくても贈与税がかかる

贈与税の対象となる財産の範囲には、とくに定めはありません。経済的な価値を有するものはすべて財産と考えた方がよいでしょう。親から土地をもらったという明らかな贈与には、もちろん贈与税がかかります。しかし、贈与税がかかるのはそれだけではありません。贈与税には、みなし贈与という税法上の規定があります。たとえば、子が親から2000万円で土地を買い受けたとしましょう。つまり、親子間の売買です。売買契約書も作り、子は親に2000万円をきちんと支払います。登記も「売買」を原因として名義が変わります。しかし、この土地の時価が4000万円だったとしたらどうでしょうか。このような場合には、本来は売買であっても、税法上贈与とみなして、 贈与税を課税することになります。相続税のかかる財産にも、本来の意味での相続財産と、みなし相続財産があります。同様に贈与税の場合も、本来の贈与財産と税法が贈与とみなす財産の二つに分けられます。

信託には贈与税がかかる場合もある

信託とは財産を第三者に預け、運用や処分をしてもらうことです。信託については信託法という法律が信託できる者を規制していますから、個人間で自由に信託行為をすることはできません。信託において、財産を預ける者を委託費、それを受け入れる者を受 託者、信託による利益や元本をもらう者を受益者といいます。委託者と受益者が同じ人であるとき(これを自益信託といいます)と、異なる場合(これを他益信託といいます)があります。贈与税がかかるのは、他益信託の方で、信託による利益が委託者から受益者に与えられたものとして、その信託行為があったときに受益者に課税されます。

定期金の受給権についてはどうか

郵便年金契約などに加入し、一定の期間内掛け金を払い込んでおくと、一定の年齢に達した場合など年金の給付事由が発生したときに、年金の支給が受けられます。掛け金を払い込んでいたのが夫、年金受給者が妻、というケースでは、妻に対し定期金受給権の贈与があったものとされます。掛け金の負担者と年金の受取人とが同じ人であるときは贈与にはなりません。

低額で譲り受けた場合の「時価」とは

前述したように形式的には売買であっても、その価額が時価より低額の場合はみなし贈与になる、という場合があります。通常の取引価額とは、いわゆる実勢の時価のことですから、路線価方式や倍率方式で求めた価額ではありません。税法の規定では、時価よりも「著しく低い価額」で売買した場合に課税するのですから、取 引時価より多少下回っても課税されることはありません。

債務免除も贈与にあたる

債務免除とは債権者が債務の免除をした場合に債務者本人に代わっ て第三者が債務を弁済した場合あるいは第三者によって債務の引き受けをした場合をいいます。親が子の借金を肩代わりしか場合がその例です。子が返済すべき借金を親が代わって返済したとなれば、子は親から借金分の利益を得たことになりますから、贈与というわけです。もっとも、債務者である子が資力を喪失し、扶養義務者である親がやむを得ず債務を引き受けたというような場合は、贈与税は課税されないことになっています。

スポンサーリンク