被相続人の死亡をめぐる問題点を知つておこう

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被相続人の死亡時とは

死亡については、死亡者の識別(本人について死亡の事実の有無)、死亡日時、脳死、同時死亡、失踪などの問題があります。問題がある場合には戸籍の記載によることになりますし、家庭裁判所の扱いも通 常とは違います。ただし、争いがある場合は、前述した死亡診断書や死体検案書などによって認定します。詳細がわからない場合は、裁判所の判決によって認定することもあります。

死亡時は、通常は脈が止まったときですが、症状によっては呼吸の有無など別の認定方法もとられます。死亡に立ち会った医師が脈を取りながら時計を見て確認します。その死亡時刻が死亡診断書、死亡届、戸籍に記載されます。

被相続人の生死が不明な場合はどうする

ところで、本人の行方がわからなくなるなど、生死不明の状態が長期間続くと、いろいろと困った問題がでてきます。配偶者はいつまでも再婚できませんし、生命保険に加入していても保険金はもらえません。  このような場合、民法では配偶者や相続人などの利害関係者が家庭裁判所に失踪宣告を申し立てることで、一定の期間が(生存が確認されているときから起算して7年間)経過したときに、死亡したものと みなすことにしています。 失踪宣告を受けた場合も相続が開始し、行方不明者である被相続人の財産は、相続人に承継されます。

失踪宣告にも普通失踪と特別失踪がある

失踪宣告とは、生死不明の者を民法上で死亡したものとして取り扱う制度です。生死不明とは、生きている証明も、死んでいる証明もできない状態にあることをいいます。たとえば、事故や災害で死亡したことが明白な場合でも、遺体が発見されないと死体検案書が作成されないため、死亡届を提出することができません。このような場合に、関係者の利害を害さないために失踪宣告が必要になるのです。

事故や災害を管轄する官公署(役所)が、死亡を確定し、死亡した住所地の市区町村役場に死亡を報告します。この報告にもとづいて、戸籍にいったん「死亡」と記載されます。その後、生死不明で1年が経過した後、失踪宣告が確定し、正式に戸籍から抹消されます。失際宣告は家庭裁判所がする審判です。この審判は配偶者や親・子などの相続人といった利害関係人の請求によって行われます。失踪宣告によって失踪者は死亡したとみなされ、配偶関係なども終了し、相続も起きることになります。

失踪宣告には、普通失踪と特別失踪(危難失踪)の2つがあります。いずれの場合も、家庭裁判所が失踪を認めると、被相続人は死亡したとものとみなされて、相続が開始されます。家庭裁判所の審判が確定すれば、死亡したものとみなされます。

① 普通失踪

行方がわからなくなったときから7年以上経過し、生死の確認ができない状態にあるとき、失踪宣告の請求ができます。その後、6か月間の公示期間を経て、失踪宣告が行われると、死亡とみなされます。

② 特別失踪(危難失踪)

海や山での遭難、船舶や飛行機での事故、戦争など、特別な理由、場所で危難に遭遇し、危難に出会った者が危難の去った後、1年以上生死が不明な状態の場合には、危難の去った時点で死亡したとみなされます。

また、失踪宣告を受けた後に、失踪者が生存していたこと、または別の時期に死亡していたことが証明されたときは、本人または利害関係者が家庭裁判所にその取り消しを求めることができます。この場合、失踪宣告によって財産を得た者(普通は相続人)は失踪宣告の取消しによって権利を失いますが、現に利益を受けている限度で財産を返還すればよいことになっています。たとえば相続した金銭を遊興費として使ってしまった場合には、その価額(価格)を返還する必要はないとされています。これに対し、生活費にあてた場合にはその価額(価格)を返還しなければなりません。

同時死亡の推定がなされる場合とは

たとえば、夫婦が、同じ交通事故で死亡したという場合を考えてみましょう。この場合には一方が多少の時間、生き残っていたというような場合も考えられます。このときもし夫が死亡した15分後に妻が死んだのであれば、妻の身内が相続するかどうかの問題が生じてきます。親子の死亡であっても同様です。夫が死亡した瞬間に、妻は相続分に応じて夫の遺産を相続したことになるからです。ところが逆に、妻が先に死亡した場合は、妻の身内には相続権が発生しません。

また、船や飛行機の事故で亡くなったような場合は、事故の詳細か不明でどちらが先に死亡したのかを特定できない場合もあります。そういう場合は、これらの人は同時に死亡したものと推定され、両者の間に相続は発生しません。「複数の者が死亡したが、死亡の前後が不明の場合は、同時に死亡したものと推定する」、というのが民法の定めです(民法32条ノ2)。推定するだけですから、生存者の証言で同時死亡でないことが判明すれば、判明した死亡時刻による場合もあります。

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