過失の割合により損害賠償額は減額される

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どうして被害者にも過失があると減額されるのか

交通事故は、加害者の過失が原因となって起こるケースが多いのですが、被害者にも過失があったというケースも少なくありません。例えば、酒に酔った被害者が急に道路に飛び出してきたため、加害車両がこれを避けることができずに死亡させてしまった、というようなケースです。このように加害者ばかりではなく、被害者にも過失があり、それが事故発生の原因となっているのに、事故による損害賠償責任を加害者だけに負わせるのは、公平の見地からいっても妥当ではありません。そこで、加害者の過失と被害者の過失の割合に応じて、交通事故では損害賠償責任を負担させることにしています。それが過失相殺です。例えば、交通事故による損害額が100万円の場合、その事故の発生について、加害者の過失が7割、被害者の過失が3割あったとすると、被害者が請求できる損害額は、100万円の7割の70万円ということになるのです。これが過失相殺による減額です。

減額の対象となる過失とはどんな過失をいうのか

では、過失相殺の対象とされる「過失」というのは、交通事故を起こした加害者の過失(不法行為上の過失)と同じものでしょうか。少し法律的な話になりま すが、加害者の過失責任を問えるためには、加害者に十分注意していれば事故が避けることができ、事故を起こせば自分がどういう責任をとらされるかを理解 できる能力(不法行為責任能力)が備わっていることが必要です。それに対して、被害者の過失相殺の対象となる過失責任は、被害者に物事を弁識する能力( 事理弁識能力)すなわち、物事に対して良いか悪いかを判断できる能力があればよいというのが、最高裁判所の判断です。しかし、小学生になれば道路に飛び 出せばどんな危険があるかを判断できますが、3~4歳の幼児には、このような能力もないのが普通です。この場合には、親や幼稚園の先生の監督責任が問題と なります。そこで、幼児と親、または幼稚園の先生のような監督責任を負う人たちを被害者グループとして考え、親または先生の監督義務違反の過失を、「被 害者側の過失」として過失相殺をしています。また、過失相殺で問題となるものに、信頼の原則というのがあります。例えば、青信号で交差点を走っていたの に、信号を無視してバイクが交差点に入ってきて、はねてしまった場合、相手が道路交通法を守るものとして信頼して運転していれば(信頼の原則)、過失責 任を問われないというものです。なお、過失相殺の考え方は人身事故も物損事故も同様です。

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