物損事故に関する判例

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全損(買換相当)・時価の判断

修理不能かまたは車体の本質的な構造部分に重大な損傷を生じ、その買換えが社会通念上相当と認められるときは、事故当時の価格と売却代金の差額を請求できます。また、中古車の時価は、原則としてそれと同一の車種、年代、型、同程度の使用状態、走行距離などの自動車を中古市場で取得し得る価格による(最高裁判決・昭和49年4月15日)とされています。

修理の費用の判断

新車購入後約2年のキャデラックの損傷で、全塗装は認めず、部分塗装の費用だけを認めたもの(東京地裁判決・平成7年2月14日)、ベンツの金メッキをしたバンパーの損傷で、第一審地裁はバンパーに金メッキをするための費用は交通事故から通常発生する損害とはいえないとしたが、高裁は金メッキ費用を相当因果関係のある損害と認めたうえで、5割の過失相殺をしたもの(東京高裁判決・平成2年8月27日)などがあります。

評価落ち(格落ち)の判断

修理をしてもなお車としての機能や外観を完全に回復せず、事故前と比較して価値の減少があるとして、修理費の一定割合(20%~30%)を損害と認定したものが多くあります。また、車種、年数、損傷の程度、修理費などを考慮して裁判所が認定したものもあり、一方、外観や機能を回復し、機能や耐久性に障害がないとして評価損を否定したものもあります。

代車使用料の判断

全損事故での145日分の代車使用料の請求に対して、現実に代替車両を購入するまでの期間(1か月)のみ認めたもの(横浜地裁判決・平成6年4月16日)、ベンツの損傷で、修理につき部品の入荷のため修理期間として39日間はやむを得ないとして、約65万円の代車料を認めたもの(大阪地裁判決・平成7年6月30日)などがあります。

休車補償の判断

営業車が事故にあって買換え、あるいは修理のために一定期間休車を余儀なくされた場合には、右車両によって操業をしていれば得られたであろう営業主の利益を通常損害として認めています(最高裁判決・昭和33年7月17日)。

その他の損害の判断

自動車が居酒屋店舗兼住宅に突入した事故で、居酒屋の休業損害の他、家庭の平穏を害されたことによる慰謝料(3万円)を認めた(大阪地裁判決・平成4年4月14日)もの、被害車両が全損状態になり新車を買うことを余儀なくされた場合、被害車両の購入価格の他に、諸費用の自動車取得税、自動車重量税、自動車車庫証明費用、自動車登録費用、自動車納車費用、相当の費用を認めたもの(東京地裁判決・平成元年10月26日)、事故のため保険料の割引きがなくなり、その損害を認めたもの(横浜地裁判・昭和48年7月16日)と、認めなかったもの(名古屋地裁判決・平成9年1月29日)とがあります。このように物損事故でも、損害として認められるものは多くありますので検討してください。

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