その他の人の収入の証明

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サービス業者の場合の収入の証明の仕方

帳簿類もきちんとつけてあり、それに基づいて税務申告をしていれば、申告額が純益となる。しかし、実際はもっと収入があるという場合には、帳簿等の書類でその証明をしなければならない。帳簿類が不備という場合には、サービス業については、売上、経費などに関する統計として、総務省統計局編の「個人企業経済調査年報」の中にある「サービス業の営業状況」が参考になる(この本は官報等を販売しているサービスセンターで販売されている)。

大工・左官などの収入の証明の仕方

棟梁や親方の収入の証明であるが、これらの人たちは、直接、施主や建設業者などから仕事を請負って仕事をしているので、取引先との契約書や帳簿により年収を算出できる。また、税務署への確定申告をしていれば、申告額が逸失利益の計算の元になる。棟梁や親方の下で働いている大工や左官の人たちの場合は、それぞれ都道府県単位で同業者の組合があり、これらの組合で1日の賃金がいくらというように一定の額が決められていて、自分の所属する組合の協定や証言によって、1日の賃金を証明することができる。働く日数を1か月30日とはみないで、休日を除いた20日~26日として計算し、1年分の年収を算出する。

自由業者の場合の収入の証明の仕方

自由業とは、医師、作家、弁護士、公認会計士、税理士などで、こういう人の収入の定め方は、前年度の確定申告による年間所得額を基準とするのが一番よい。しかし、多くの人がこの申告所得額は実際より少ないのが実情であり、そこで、帳簿、伝票、源泉徴収票などにより、申告額以上に所得があったことを確実に証明できたときは、申告額以上の収入を裁判所でも認めている。保険でも裁判でも、普通は67歳までを稼働期間としているが、医師とか弁護士などのように高齢に達しても十分仕事がこなせるのが現状なので、67歳以上まで稼働期間を認めた判例がある。

学生の場合の収入の証明の仕方

高校生の場合、具体的収入はないから、賃金センサスを用いて逸失利益を計算するが、この表の利用の「旧中・新高卒」欄の該当数字を基礎とする。また、工業高校に通学していた場合は、技術系の平均賃金を基礎とすることもできるし、大学進学が確実視されていた場合には短大卒または大学卒の平均給与額を用いてもよい。大学生の場合、専門職該当の学科を選択して教育訓練を受けているから(医学部なら医者に)、それらの知識を活用できる職に就く可能性は高いといえる。だから、賃金センサスを利用する際にも業種別の表を用いることができる。また、4年生で就職が内定していたという場合には、その会社の賃金を基準に計算したほうが有利な場合には、こちらを使ってもよい。

OLの場合の収入の証明の仕方

未婚の女性の場合には、一般的には、厚生省の統計による女性の平均結婚年齢27~28歳くらいまでを、事故当時の収入を基礎として計算し、その後67歳までを賃金センサスによる女子労働者の平均賃金を基礎として算出することになる。しかし、事故当時の年齢や家庭の環境によっては、一生現在の職業に就いていただろうと予測されるときは、67歳まで事故当時の収入を基礎として算出することも可能である。判例も、結婚の事情を考慮せず、事故当時の収入を基礎として 67歳までの逸失利益を計算した例、賃金センサスによる平均賃金を基礎として67歳までの収入を算出した例などもある。なお、無職の未婚女性は、賃金センサスによる女性の平均賃金を基礎として算出する。

年金生活者の場合の収入の証明の仕方

恩給や老齢年金が逸失利益の対象となるかどうかについては意見が分かれていたが、最高裁の平成5年9月21日の判決で逸失利益として認めた。問題は、恩給や老齢年金を受給していた本人が死亡すると、遺族には遺族扶助料や遺族年金が支給されるようになり、恩給や年金を逸失利益として加害者に請求し、かつ遺族扶助料や遺族年金を受給するとなると二重取りとなり不公平になる。これについても、最高裁判例が出され、相続人のうちに退職年金受給者の死亡を原因として遺族年金の受給権を取得した者があるときは、支給を受けることが確定した遺族年金の額の限度で、賠償を求めうる損害額から控除すべきものであるとした(平成5年10月24日大法廷判決)。

高齢者の場合の収入の証明の仕方

高齢者で現に収入を得ていることが証明できれば当然、逸失利益は認められる。死亡時に67歳に近い人や67歳を過ぎていた人の場合、厚生労働省発表の簡易生命表の平均余命年数を調べ、その余命年数の半分くらいを就労可能年数と見てよいことになっている。その際には、健康状態等も考慮にいれることが必要となる。また、サラリーマンで、定年直前、あるいは定年と67歳の中間で被害にあった人の場合、定年後の就職先が確定していればその賃金による。また、再就職するつもりではいるがまだ就職先が見つかっていないという場合、①賃金センサスによる平均賃金を採用する方法と②定年退職時の収入の50%くらいを定年後の収入と見るなどの方法がある。

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