傷害事故の分とは別に請求できる
後遺症とは、傷害をうけた結果、傷の治療自体は終わっても、手や足の切断とか失明などのように、障害が残るものをいいます。
すなわち、病院で治療が終わるまで(症状が固定するまで)の損害が傷害による損害で、症状が固定した後の損害が後遺症による損害ということになります。
一般に傷害による損害と後遺障害による損害とは別に算定しています。
これは自賠責保険が傷害と後遺障害とによって保険金を分けていることもあって、別々に考えたほうが分かりやすいからです。
どんな場合を後遺症というかについては、法律(自動車損害賠償保障法の附則、労働者災害補償保険法の附則)によって、細かく定められています。これは後遺障害等級表に掲載されていますので、参照してください。
義足、義肢、義手、義眼などを作るために要する費用は、後遺症による積極損害となりますが、一般には後遺症による逸失利益と後遺症による慰謝料とに分けられます。
後遺症による逸失利益とは、後遺症が残ると自動車事故にあう前とは同じようには働けません。将来収入が減ることは明らかです。
この収入の減少する分を賠償させようとするのが後遺症による逸失利益です。
後遺症による慰謝料は、後遺障害が残ったことに対する精神的な苦痛に対する損害賠償です。裁判所では、自賠責保険金額の 8割前後を後遺症の慰謝料とみています。
示談後に後遺症が発生した場合の損害賠償
原則として示談のやり直しはできません。一般に示談書の末尾には、「本件事故に関して、今後名目のいかんに関わらず、当事者双方何らの請求をしないこと」等の一項が入っています。
しかし、これでは被害者が余りにも気の毒です。そこで、判例では、示談当時予測のできなかった後遺症が発生した場合についてまで、損害賠償を放棄した趣旨とは解することができないとして、示談後の後遺症の損害賠償を認めています(最高裁昭和43年3月15日判決)。
等級 | 後遺障害 | 自賠責保険 (共済)金額 |
労働能力喪失率 |
---|---|---|---|
第1級 |
|
4000万円 |
30 100 |
|
3000万円 | ||
第2級 |
|
3000万円 | 100% |
|
2590万円 | ||
第3級 |
|
2219万円 | 100% |
第4級 |
|
1889万円 | 92% |
第5級 |
|
1574万円 | 79% |
第6級 |
|
1296万円 | 67% |
第7級 |
|
1051万円 | 56% |
第8級 |
|
819万円 | 45% |
第9級 |
|
616万円 | 35% |
第10級 |
|
461万円 | 27% |
第11級 |
|
331万円 | 20% |
第12級 |
|
224万円 | 14% |
第13級 |
|
139万円 | 9% |
第14級 |
|
75万円 | 5% |