損害賠償額を算出する際の基準は三つある

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同じ自動車保険でも強制保険と任意保険では基準が異なる

算定基準が三つもあるといわれると、交通事故に初めて会った方は驚かれるかもしれません。この三つの基準を説明する前に、自動車保険と損害賠償の関係を説明しておきましょう。交通事故の被害者を救済するために、昭和30年に自動車損害賠償保障法が制定され、同時にすべての自動車に強制的に加入することを定めたのが自賠責保険(一般的には強制保険と呼ばれている)で、これは人身事故について支払われる保険です。加害者が任意に加入できるのが任意保険で、例えば人身事故について損害賠償金額が高額なため、自賠責保険では支払きれない部分を補てんする役割をする保険です。そのため強制保険の上積み保険ともいわれます。このような対人賠償保険のほか、任意保険にはいろいろな種類の保険があります。人身事故の被害者は、まず強制保険金を請求し、損害賠償がこれを超えるときに任意保険金から、それでも足りない場合は加害者から支払ってもらうことになります。そのため、強制保険には強制保険独自の算定基準(限定額)を定めています。ただし、この基準も絶対的なものではありません。確実な証拠資料により証明したときは、基準を超えて支払ってもらえる場合もありますし、また裁判で判決が出た場合には基準を超えて保険会社は支払います。

裁判所の基準に代わって登場したのが弁護士会基準

最後の基準は、弁護士会(裁判所)の基準です。交通事故が増加し、事故による死亡者が初めて1万人を超え、交通戦争という言葉が生まれた昭和45年頃、交通事故の損害賠償請求事件も増加しました。そこで東京地裁では、訴訟の迅速化と、担当裁判官によるバラつきをなくすために、損害賠償の各項目について、定型化、定額化を図り、公表しました。大阪地裁、名古屋地裁もこれに追随しました。しかし、この基準も毎年改定するわけではないので物価の上昇に追いつけず、定額化は低額化につながるとか、定型化は裁判官の自由な判断を阻害するなどの批判が出始め、裁判官は公表をやめました。現在、日弁連交通事故相談センター(日本弁護士連合会)では、最新の判例の集積、分析、物価の上昇などの経済的要因を考慮に入れ、2年に1回、「交通事故損害額認定基準」を発表しています。また、東京三弁護士会交通事故処理委員会が毎年(民事交通事故訴訟、損害賠償額算定基準 )を発表しています。このサイトで説明する基準は、この弁護士会(日弁連交通事故相談センター)の基準で、強制保険や任意保険の基準より、金額は高めになっています。

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