ギャンブル狂の夫とは離婚できることもある

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生活費を家に入れない場合には扶助義務違反となり離婚事由に該当

いくら愛し愛されて結婚した夫婦であっても、現在の世の中、経済的な裏打ちがなくては愛情だけで 円満な結婚生活は送ってはいけません。民法が結婚した夫婦に期待しているのは、夫婦は同居し、お 互いに協力し扶助しなければならないことです(752条)。ここでいう扶助義務というのは、最後のひ とかけらのパンでも分かち合う義務であると説明されています(これに対して、自分の生活に余裕が あるときに助け合う義務のことを扶養義務といっています)。生活費を渡さないというのは、まさに この扶助義務違反に当たります。確かに、国営、公営を問わず、競馬、競艇、競輪など、現代はギャ ンブルの花盛りです。国は、一方では賭博行為を犯罪として処罰の対象にしている一方(刑法185条) 、他方ではテレビコマーシャルなどで盛んにギャンブルを助長するような宣伝をしているのですから 。まあ、余談はさておき、働き手の夫が生活費を家に入れないということになると、子供を含む夫婦 共同生活は成り立ちません。そのため、このような扶助義務違反がある場合には、法定離婚原因の一 つである「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当し、妻からの離婚請求が認められることになりま す。生活費を家に入れない理由は、なにもギャンブルだけに限られません。骨董品収集の趣味が高じ 、高価な掘り出し物を買うため生活費を家に入れないという場合でも、結論は同じです。

婚姻を継続し難い重大な事由に該当するとされたケース

夫婦間の扶助義務違反を理由として離婚を認めた判例は数多くあります。そのうちのいくつかを紹介 しておきましょう。夫は失業中の身でありながら、親戚の者の就職の世話を無視するばかりか、妻子 に暴言・悪態をつき、少しも生活費を入れてなかったために妻から離婚請求をされた例、夫が妻子を 置いて家出をし、生活費を家に入れないばかりか、たまに家に帰ってきては小遣銭をせびっていたと いう例などでも、妻からの離婚の請求を認めています。しかし、次のような判例もありますから、注 意が必要です。多額の借金は家庭の崩壊をもたらすことはよくあることですが、夫のサラ金などから の借金に苦しむ妻が離婚を請求したのに、これを認めなかった珍しい例もあるからです。判決は、夫 の借金問題以外に結婚生活を維持していく上で支障となるような事情はないのであるから、妻も働い て協力すれば借金を返済することも生活の維持も可能であるという理由から離婚を請求を棄却してい ます(仙台地裁・昭和60年12月19日判決)。なお、ギャンブルが原因でサラ金などからの借金がかさ み破産する人がいますが、破産したこと自体は離婚原因ではありません。ただし、そのために家庭に お金を入れなかったりして、夫婦喧嘩が絶えず、婚姻関係が冷えきって破綻している場合には、離婚 が認められることになります。