養育費等の滞納と強制執行

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養育費等の支払いの滞納に備えて

別居中の生活費である婚姻費用の分担や離婚後の養育費の取り決め をしても、現実にはなかなか支払ってもらえないケースが協議離婚 で約8割、調停で決まった場合でも3割強です(前者は厚生労働省の 統計、後者は最高裁の調査)。養育費等の支払いが家庭裁判所の調 停や審判で取り決められていれば、家庭裁判所に「履行勧告」や「 履行命令」を出してもらうことができます(半数ぐらいは効果があ るようです)。それでも支払いがなされない場合は、調停調書や審 判書には強制執行力がありますので、地方裁判所に頼んで財産や給 料の差押えができます。協議離婚の場合も、取り決めた内容を公正 証書にしておけば(滞納したときは強制執行してもよい旨の文言を 入れること)同様の効果があります。

滞納の場合の強制執行が厳しくなった

平成16年4月1日に民事執行法が改正され、「扶養義務等に係る定期金債権を請求する場合の特例」が設けられました。滞納者に対して、これは厳しい 内容とな ったのです。改正前は、養育費等の滞納で給料等の差押えをする場合、滞納部分についてしか差押えはできませんでした。滞納の都度、差押え手続を取ること は大変で、費用も馬鹿になりません。今回の改正で、強制執行手続を一回取るだけで、将来の分を含めて継続的な収入について差押えができるようになりまし た。この継続的な収入には、給料だけではなく、家賃、地代など継続的に支払われる収入も含みます。

差押えできる上限も増加

改正前は、給料等の差押えができるのは、上限が給料等から税金・社会保険料等を控除した額の4分の1まででしたが改正により2分の1までと拡大され ました。 また支払義務者の収入が66万円を超える場合は、半分の33万円超の額の全部を差押えできるようになりました。このような強制執行ができるのは、離婚前の 婚 姻費用、離婚後の養育費ですが、離婚時の財産分与、慰謝料はたとえ長期の分割払いの定めをしても適用にはなりません。また平成16年の同法の改正で、養育 費の不履行があるときは、一種の制裁金の支払いを命じること(間接強制)ができるようになりました。