不貞を一度は許しても離婚できる場合がある

戦前の民法では一度相手の不貞を許してしまうと離婚請求はできなかった

戦前の民法では一度相手の不貞を許してしまうと離婚請求はできなかった 世の中には一度くらいの浮気なら許すという心の広い人もいますが、反対に浮気をしたら絶対許さないという頑固者もいます。戦前の旧民法では、姦通など離婚 原因に当たることを夫婦の一方がした場合に、他の一方がこれをいったん許したときには、離婚の訴えはできないと明文の規定がありました。しかし、現在の民 法ではそのような規定はありません。ですから、いったんは不貞行為を許したとしても、あらためて離婚請求の訴訟が起こされれば、その不貞を原囚とする離婚 が認められる可能性も多いのです。

不貞をされた側か許すということはどんな意味を持つのか

夫が妻以外との女性関係を認め、今後このような関係を持たないことを誓う誓約書を妻に渡して許しを得ていたケースの場合に、それでも妻が離婚訴訟を 起こした裁判例があります。夫は、すでに妻から宥恕(許すこと)を受けているから離婚原因には該当しないと主張したのですが、裁判所は、たとえ宥恕があっ たとしても、妻が全面的に宥恕したものとは認められず、それは旧法のような離婚請求権を消滅させるものではないとして、離婚を認めています。離婚原因とな る不貞行為があり、夫婦の一方がそれを許したからといって、後になり離婚請求を認めないものではないということのようです。また、離婚を請求している妻の 側に不貞行為がありましたが、夫がいったんは宥恕し、妻も謝罪して4、5か月平穏に過ごしましたが、夫は妻を疑い、束縛してやる、死ぬまで自由にさせない などと妻を責めつづけたため、妻は夫に生理的な嫌悪を持つようになり、子供を連れて家を出、妻から離婚を請求しました。夫は妻の過去の不貞を理由に有責配 偶者(離婚原因を作った責任のある者)であるから離婚の請求はできないと主張しましたが、裁判所は、いったん宥恕したからにはそのような主張は信義則上許 されないとして離婚を認めました。いったんは許したからといって、離婚請求ができなくなるわけではありませんが、いったんは許しておきながら、相手を有責 配偶者だと主張することはできないということです。

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