冷静に考えるための別居は意味がある

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別居期間中であっても相手に生活費を請求することができる

離婚話しが持ち上がり、双方で冷静な話し合いができない場合には、しばらくのあいだ冷却期間を置くという意味合いで、別居するケースは多いようです。この別居期間の間にも、いろいろな問題が起こりがちです。まず、別居した妻が直面するのは経済面です。多くの家庭では、経済的には夫に依存しているため、生活費にも困ることになります。たとえ別居していても、夫婦や親子2変わりはないわけですから、生活費に困るようなときは、夫婦間の協力扶助義務あるいは婚姻費用分担義務(夫婦生活を送る上で必要な費用の分担)に基づいて、生活費の請求ができます(民放750二条、760以上)。では、分担義務者は、どの程度の費用を分担しなければならないのでしょうか。子供の養育費(教育費も含む)については、自分と同じ程度の生活レベルを保証することになっています。また、夫婦間の場合には、夫婦関係の破たんの程度や破たんに対する責任の有無によって分担の程度が変わってきますし、さらに別居をやめ元の生活を回復する可能性があるかどうかによっても、結論は変わってきます。例えば、妻が愛人のもとに走り、別居生活をしているような場合に、妻が夫に対して生活費を請求することはできないことは当然でしょう。また、離婚届を夫に突き付けて別居を始めた妻が、生活費を請求するというのも、おかしな話しです。このように請求する側に夫婦生活を破たんさせた責任がある場合は、権利の濫用として請求は認められません。

家の財産を持ち出して別居したらどうなるか

では、別居をする際に、夫名義の財産を勝手に持ち出して、生活費として使うことはできるでしょうか。このようなケースで実際に争われた例があります。夫婦である間に蓄えた夫名義の預金の半分を、妻名義に変えて家出した事件ですが、夫から妻に対する損害賠償請求を認めなかった判決があります。その使った財産が夫婦の実質的共有財産である場合で、共有の持ち分を限度に使ったという場合には不法行為にはならないと思われます。また、別居をすると、離婚が成立する際に不利になるのではないかという質問を受けることがよくあります。離婚するにせよ元に戻るにせよ、冷静になって考えるために別居は意味があり、そのために不利になることはありません。ただ、別居が数年間にもわたるというような場合には、不利に作用するケースがあります。