妻が勝手に離婚届を出した

勝手に離婚届を作成して受理されたとしても無効になる

婚姻や離婚は当事者双方が届出をしなければなりません。そのことは民法で規定されています。したがって、届出人には双方がなり、届出書には当事者双方の署名押印が必要です。「離婚してもいいと確かに言った。娘の花子の親権者はお前でいいとも確かに言った」「いじゃないの。同じことでしょう」「そうはいかん。花ことは時々会いたいとか、小学校はどうするとか、養育費はいくらにするとか、細かな話がまだすんでないじゃないか。なのに勝手に離婚届を作り、俺の認印を無断で押して区役所へ出してしまったとは何だ」このような事件は意外と多く、離婚の合意ができていた場合は、たいていは泣き寝入りで離婚になるようです。しかし、法的にはこんな離婚届は無効です。話し合いができていないから無効なのではなく、本人が印を押した離婚届ではない偽造の届だからなのです。「あの判はあなたも承知で私に預けていて、勝手に押しても文句言わなかったでしょう」といっても、このような場合の勝手な押印は無効です。

離婚したくなければ離婚無効の訴訟を起こす

これは文書偽造にもなります。犯罪としての追及まではしないとしても、離婚無効の訴えを提起できます。この離婚無効の訴えと同時に、こちらからの離婚訴訟を別に提起し、親権者や慰謝料その他の事項についての判決を求めることもできます(届書の偽造による離婚の無効を主張することと、新しい離婚請求をすることは別のものです)。まず、調停を提起するのですが、離婚無効については双方の合意のほかに「合意に相当する審判」が必要になります。調停が不成立であれば離婚無効の訴訟に進むことになります。新しい離婚は前の離婚無効が前提となります。ただし、勝手に出された離婚届であっても、事実上その不備を黙認し、子どもとの面接交渉や養育費などだけを協議によって定めたり、家庭裁判所の審判や調停により定めることもできます。また、一方的な財産分与や慰謝料の要求が起きるかもしれませんから、そのことは黙認する前に確認する方がよいでしょう。

一方的に離婚届を届け出されてしまった場合

協議離婚では、かならず夫婦両方の離婚の意思がなければならず、どちらか一方の意思だけでは、離婚することはできません。たとえば、一度離婚届に判を押して離婚届を作成したが、やっぱり離婚はやめにする、ということも可能です。相手に「離婚する意思はない」と通告しさえすれば、たとえ離婚届が受理されていったんは離婚が成立しても、離婚無効確認の調停申立てや離婚無効の訴えを家庭裁判所にすることができるのです。ただし、離婚する意思がないと通告をしたことが訴訟で立証できなければ敗訴になる可能性が高いですから、通告を何らかの形で立証できるようにあらかじめ手を打っておく必要があります。あるいは、相手が離婚届を提出してしまう前に「離婚届の不受理申出書」を先回りして役所に出しておけば、離婚届は受理されなくなります。

離婚後の再婚禁止期間

女性は離婚から6か月経過した後でなければ婚姻届は受理されません。もちろん事実上の同居をすることや内縁関係を作ることはできますが、法的な婚姻ができないのです。女性だけの制限なんて差別だ、と怒る気持ちもわかりますが、とにかく現行法にあることで、役所は婚姻届を受理しません。このような規定があるのは、再婚後の子が前夫の子か後夫の子か、わからなくなるのを防ぐためです。現在、法改正の動きがありますが、見方を変えれば婚姻届が受け付けられないだけで結婚式も夫婦生活も禁止はされてはいないのです。

スポンサーリンク