性交渉の拒否は必ずしも離婚理由にならない

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性交渉の拒否だけでは離婚理由にはならない

結婚当初ならばいざ知らず、結婚生活が長くなればなるほど、夫婦間のセックスは少なくなり、盆と正月のみとか、あるいは七夕だよ(年に一回)などと言う話も珍しいことではありません。結婚生活というのは、夫婦の愛情と信頼間係によって維持されるべきものであり、夫婦間の性交渉というのは、こうした愛情の発露としての自然な営みであり、その意味では、夫婦生活における性交渉が重要な位置を占めるものであることは、論を待たないと言えるでしょう。このような重要な夫婦間のセックスを拒否すれば、どんな場合にも離婚原因になるのでしょうか。もちろん、そのようなことは個々の夫婦の個別的、具体的な間題であり、一概に性交渉の拒否は離婚につながると軽々しく言うことはできません。 もちろん、病気や身体的な障害のために、性交が不能という場合には、離婚原因とはなりにくいでしょう。また、年老いてからの結婚生活では、性交渉そのものに重点が置かれるものでもありませんので、性交渉がなくても離婚間題は結びつきにくいと思われます。では、健康で、それほど老齢でもない夫婦の場合に、長期間にわたり性交渉がなかったからといって、その事のみで離婚請求が認められるものでしょうか。ポイントとなるのは、夫婦の一方が長期間にわたって性交渉を拒否し、その結果、愛情が失われ、結婚生活が破綻を来したというような場合でなければ、離婚原因とはならないと考えられます。

性交渉の拒否を理由に離婚を認めた判例は少ない

判例では、結婚する際に、性交渉が不能である旨を告げず、3年半の間居期間中、一度も性交渉がなかったというケースで、婚姻を継続しがたい重大な事由に当たるとして離婚を認めた例があります。また、結婚後、約4か月は正常な性交渉があったが、その後夫が性交渉を拒否し、他の男性と同性愛の間係になったケースで、同様に婚姻を継続しがたい重大な事由に当たるとして、妻からの離婚請求を認めています。次の例は、離婚請求事件ではありませんが、参考のために紹介しておきます。再婚同士の妻が、異性に身体を触られると気持ちが悪いと言い、結婚当初から別居に至るまで性交渉を拒否し続けたため、ケンカが絶えず、婦生活がうまくいかなくなったというケースで、夫からの離婚に伴う慰謝料の請求(妻の側に離婚に対して有責性があると判断)を認めています(離婚は協議離婚)。

長期間セックスレスの夫に離婚が認められたケース

3年半にわたって性交渉がなかったというケースです。裁判所は、「性間係の重要性を考慮すれば、病気や老齢などの理由から性間係を重視しない当事者間の合意があるような特段の事情が存しない限り」長期間にわたり性交渉のないことは「婚姻を継続しがたい重大な事由」に当たる、として離婚を認めています(京都地裁・昭和62年5月12日判決)。

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